最近の市場を眺めていると、特定の銘柄が急激に買われる一方で、これまで堅調だった銘柄が調整に入るなど、非常に波の荒い展開が続いています。直近でも国内外で石油・天然ガス等の鉱業資源の権益を持つ大手石油開発企業のinpexの株価が下がり続けている動きなどを見ると、相場のトレンドがいかに移り変わりやすいものかを改めて痛感します。
そんな中、市場の価格変動を前にして、僕自身が過去の投資経験から強く実感し、深く反省した「投資心理」について書いてみたいと思います。
今回のテーマは、「株価上昇がもたらす『価値の錯覚』の罠と、投資において『待つこと』の真の意義」です。
高配当株投資において、高配当投資家の最大の敵は暴落ではありません。実は、自分自身の内側から湧き上がる「焦り」や「欲望」こそが、最も手強い相手なのです。
インペックス(INPEX)で味わった「逃した魚」への執着
少し前のことですが、僕は国内外で石油・天然ガス等の鉱業資源の権益を持つ大手石油開発企業のINPEX(1605)への投資を真剣に検討していました。業績や配当利回りを考え、「ぜひポートフォリオに入れたい」と狙いを定めていたんです。
ところが、タイミングを計っているうちに、株価はあっという間に上昇。最初は「また下がるだろう」と静観していましたが、株価は僕の期待を裏切り、スルスルと上値を追っていきました。
その時の僕の心境は、まさに「激しい後悔」でした。「あの時買っておけば……」という自責の念が頭を離れません。
そして恐ろしいのは、株価が上がっていくのを見ていると、当初の冷静な分析が吹き飛び、
「価格が上がっているんだから、僕が思っていた以上の『すごい価値』があるに違いない」と思い込んでしまったことです。人は、価格が上がるとその対象をより価値があるものだと誤認してしまう性質があります。
しかし、最近のINPEXはどうでしょうか。あの一時の熱狂が嘘のように株価は下落し、落ち着きを取り戻しています。この動きを冷静に振り返った時、僕はハッとしました。「僕は単に、上がっているという事象に目を奪われていただけだった」と。
東京海上とバークシャー報道が突きつけた「含み損」の恐怖
この「価格上昇=価値の上昇」という錯覚の危うさを、僕は別の銘柄でも痛感したことがあります。それが東京海上ホールディングス(8766)です。
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが日本株に投資したというニュースで、市場が熱狂した時のことです。東京海上の株価も急騰し、2日連続のストップ高。株価が7,800円台という高値圏に突入しました。
もちろん、東京海上は今でも素晴らしい企業で、現在の株価もフェアバリュー(適正価格)の範囲内だと思っています。しかし、あの「ストップ高」を目の当たりにした時の僕は、正常な判断力を失いかけていました。
「これ以上、この波を逃したくない!」 「今買わなければ、もう二度と買えない場所へ行ってしまう!」
そんな焦燥感に駆られ、高値掴みと分かっていながら投資を考えていました。もしあの時、7,800円台で飛びついていたらどうなっていたか。その後に訪れた調整局面で、僕は大きな「含み損」を抱え、精神的な苦痛に耐えられず狼狽売りをしていたかもしれません。
もちろん成長していけばさらに株価も上がっていく余地があるとは思いますがそれでも一気に上げ好きた感じではあるなとは思っていましたのでブレーキをすることができて待って50株のみですが投資をすることができました。
価格を吊り上げる「罠」と、僕たちが持つべき「耐性」
インペックスや東京海上の経験から僕が学んだのは、人間の脳は「周りが欲しがっているもの(=価格が上がっているもの)」に高い価値を感じるようにできている、という事実です。
株価を吊り上げて罠を仕掛けるような動きも、市場には確実に存在します。その熱狂に自分から飛び込むことは、自ら罠にかかりに行くようなものです。
だからこそ、投資において最も大事なのは、「いかに自分を堪えて耐え、感情的な投資をしないように自分を律するか」。これに尽きると確信しました。
つまり、「待つこと」こそが、投資における最強の技術です。
「待つ」とは、何もしないことではありません。己の感情をコントロールし、自分が決めた適正価格まで獲物が降りてくるのをじっと狙い続ける「能動的な規律」です。
結びに:投資は「自分自身」との戦いである
株価が上がっていくのを指をくわえて見ているのは苦痛です。でも、僕がやっているのはギャンブルではありません。企業の利益を長期で享受するための、堅実な「守り」の投資です。
最近のインペックスの落ち着きを見て、僕は改めて自分に言い聞かせています。「やはり待っていて正解だった。無理に高値を追う必要はどこにもなかった」と。
相場にはサイクルがあります。誰かが仕掛けた熱狂という罠に惑わされることなく、自分の基準に株価が降りてくるまで、ひたすらに待つ。
時には何ヶ月、何年も待つことになるかもしれません。しかし、その「待つ時間」こそが、投資家としての思考を研ぎ澄まし、自分自身の価値(人的資本)を高めるための貴重な時間になるはずです。
焦らず、急がず、自分のマイペースで、虎視眈々とチャンスを狙っていくべきです。


コメント