半導体からバリュー株への資金移動。相場の「波」と呼吸を合わせる、「動かない」という投資戦略

学ぶべき投資スキルについて

最近の株式市場を観察していると、これまで相場を牽引してきた半導体関連銘柄から、相対的に割安に放置されていたバリュー株へと、明確な資金のシフトが起きているように見えます。

高配当なバリュー株をポートフォリオの主軸に据えている私の投資先も、ここ最近の株価上昇の恩恵を少しずつ受け始めています。強固なバランスシート(B/S)と分厚いキャッシュフロー(C/F)を稼ぎ出す企業群が、市場で再評価されるのは投資家として嬉しい限りです。

証券口座を開けば資産残高が増えており、心理的にも非常に「居心地が良い」状態と言えます。しかし、このような順風満帆な時こそ、私はあえて立ち止まり、自戒を込めてこう思うのです。

「こういう調子が良い時に気分良く投資をすると、大抵あまり良くない結果を招く」と。

今回は、相場の「波」と自分の「呼吸」を合わせる投資の極意について、私なりの考えを綴ってみたいと思います。

少しでも参考になれば幸いです。

居心地の良さに潜む罠

株価が右肩上がりで上昇し、自分の資産が日々増えていくのを見るのは快感です。人間の心理として、「もっと儲かるのではないか」「今買わないと乗り遅れるのではないか」という焦りが生まれ、ついつい資金を投入したくなります。株価が上昇している時の投資は、自分の選択が市場に肯定されているような安心感があり、とても居心地が良いものです。

しかし、歴史が証明している通り、誰もが楽観的になり、居心地の良さを感じている時こそが、相場の天井であることが少なくありません。高値で掴んでしまったポジションは、ひとたび波が反転した時に、重い含み損となって重くのしかかってきます。

真の資産形成とは、調子の良い時にアクセルをベタ踏みすることではなく、むしろ「思い通りにいっていない、苦しい時期」にこそ、いかに淡々と投資を継続できるかにかかっていると感じています。

悲観の底で買い向かう勇気

長期投資において資産が最も大きく伸びる種まきができるのは、自分の資産が減少し、相場全体が悲観的な空気に包まれている時です。

ニュースを開けばネガティブな報道ばかり。SNSでは「もう株は終わった」「投資は危険だ」という声が溢れ、周囲の人間が次々と市場から退場していく。自分自身でさえ、「このまま投資を続けて本当に大丈夫だろうか」と疑心暗鬼になり、諦めにも似た感情を抱きそうになる。

そうした逆風の中で、自分の決めたルールに従い、恐怖を押し殺して買いボタンを押し続けることは、想像以上にきつく、多大な勇気を必要とします。

しかし、市場のノイズに惑わされず、企業の稼ぐ力(キャッシュフロー)や財務の健全性が揺らいでいないという「事実」だけを見つめ、人が積極的になれない時にこそ積極的に投資を行う。この苦しい時期のコツコツとした積み重ねが、後の上昇相場で爆発的な資産増加となって返ってくるのです。

投資は「波乗り」であり、「呼吸」である

最近、投資とは一種の「波乗り」や「踊り」、あるいは「呼吸」のようなものだと感じるようになりました。

海辺に立っている姿を想像してみてください。 大きな波が猛烈な勢いで押し寄せてきた時、真正面から突っ込んでいけば波に飲まれてしまいます。波が勢いよく来たら、無理に逆らわず、スッと一歩引いてやり過ごす。そして、波がザザーッと沖へ引いていく時、つまり市場から資金が引き揚げられ、株価が下がっていくタイミングを見計らって、前に出て攻撃(投資)を仕掛ける。

相場の波長に合わせて自分の行動を変化させることで、投資に美しいリズムが生まれます。

「動かないこと」もまた、立派な投資である

現在のように、自分の保有銘柄が上昇し、含み益が増えている時。私はこのタイミングでさらに資金を追加するのではなく、分析してとても良い投資先があると判断すればまた違ってきますが、1回立ち止まって「資金を温存する」フェーズに入ったと判断しています。

投資家の性(さが)として、常に何かを買ったり売ったりしていないと落ち着かないポジポジ病に陥りがちです。しかし、ストア派の哲学にも通じることですが、自分ではコントロールできない市場の動きに対して感情を乱さず、ただ静観することもまた重要です。

「休むも相場」という格言があります。

無理に動かず、キャッシュ(現金)という最強のオプションを蓄えながら、次の波が引くタイミングをじっと待つ。資金を温存して「動かない」という選択も、立派な投資行動の一つなのです。

これからも相場は上がり下がりを繰り返し、私たちを揺さぶってくるでしょう。その度に、波の勢いを冷静に見極め、悲観の中で勇気を持ち、楽観の中で静かに立ち止まる。この「投資の呼吸」を忘れずに、これからも市場と長く付き合っていきたいと思います。

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