はじめに:最近の資産減少と、メイン銘柄の苦境
ここ最近、私の資産は目に見えて減少しています。
私のポートフォリオの主力は、いわゆる「王道」の高配当株です。総合商社や不動産株など、これまで堅実な配当利回りと業績で私の資産形成を支えてきてくれた銘柄たちがメインとなっています。
しかし、足元の相場ではこれらの株価が軒並み下落しており、私のポートフォリオもかなりの大打撃を受けています。頭では「株価の上下は当然のこと」と理解していても、実際に自分の大切なお金が減っていくのを目の当たりにすると、どうしても心がざわついてしまうのが投資家の性(サガ)というものです。
今回は資産減少の今こそ試される真価。隣の芝生が青く見えた時に思い出すべきことについて考えてみたいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
半導体株の熱狂と「隣の芝生」の誘惑
私の高配当株が苦戦を強いられている一方で、株式市場全体を見渡すと、決してすべてが悲観的なわけではありません。いや、むしろ一部のセクターは熱狂の渦の中にあります。その代表格が「半導体関連株」です。
ニュースやSNSを見れば、「〇〇銘柄がストップ高!」「半導体株で資産が倍になった!」といった景気の良い話が毎日のように飛び交っています。凄まじい勢いで株価が上昇し、波に乗っている投資家たちの歓喜の声が嫌でも耳に入ってきます。
そんな時、人はどうなるでしょうか。 「自分も半導体株を買っていれば……」 「今からでも高配当株を売って、流行りのグロース株に乗り換えるべきではないか?」
かく言う私も、その一人です。圧倒的なパフォーマンスを叩き出している他人のポートフォリオを見て、自分の投資方針が間違っているのではないかと不安になり、つい投資先を変えようとしてしまう自分がいます。まさに「隣の芝生は青く見える」状態です。青いどころか、眩しいくらいに輝いて見えます。
しかし、私はあえてここで踏みとどまり、自戒を込めて言いたいのです。「ここで方針を変えてはいけない」と。
投資だけじゃない。「うまくいかないと投げ出す」人間の性(サガ)
なぜ、投資方針をコロコロ変えてはいけないのか。それを考えるにあたり、少し投資の世界から離れて、私たちの「人生」そのものについて考えてみたいと思います。
実は、この「隣の芝生を見て方針を変えたくなる」という心理は、投資に限った話ではありません。仕事でも、趣味でも、運動でも、人生のあらゆる場面で顔を出す、人間という生き物の根本的な弱さなのです。
仕事における「乗り換え」
例えば、仕事の場面を想像してみてください。あるプロジェクトや新しい業務フローを導入したとします。最初は意気揚々と始めても、しばらくすると壁にぶつかり、なかなか成果が出ない時期が必ずやってきます。
そんな時、「このやり方は間違っていたかもしれない」「あっちの部署で導入している新しいツールのほうが良さそうだ」と考え、今まで地道に積み上げてきたものを途中で投げ出し、またゼロから別の新しいことに手を出してしまうことはないでしょうか。
ダイエットやトレーニングの罠
運動やダイエットも全く同じです。「夏までに痩せる!」と決意してランニングや筋トレを始めても、最初の数週間は体重が落ちず、筋肉痛ばかりが辛い時期が続きます。すると、「このトレーニング方法は自分に合っていないのではないか」「テレビで紹介されていた〇〇ダイエットの方が楽に痩せられそうだ」と目移りしてしまいます。
続けることが苦になり、続けない理由を正当化して、結局別の方法に乗り換える。しかし、新しい方法に移ったところで、また必ず「成果が出ない苦しい時期」はやってきます。そしてまた乗り換える……。この無限ループに陥ってしまうと、結局いつまで経っても目標を達成することはできません。
人間というのは、本質的に「うまくいかない時に、別の新しいものに解決を求めてしまう生き物」なのだと思います。痛みを避け、手軽な成功を求めてしまうのです。
過去の経験が教えてくれること:グロース株全盛期の孤独
この人間の弱さを理解した上で、再び投資の話に戻りましょう。
私が「苦しい時こそ、投資方針を変えてはいけない」と強く信じるのは、私自身が過去に同じような経験をし、そこから大きな学びを得ているからです。
あれは数年前のことです。その時も相場は一部のセクターが牽引していました。当時の主役はハイテク・グロース株です。新興企業の株価が連日のように急騰し、SNSでは「まだ高配当株なんて買ってるの?」「これからはグロース一択でしょ」といった声が溢れ返っていました。
その時の高配当株の扱いは、今の比ではありません。まさに「全く見向きもされない」状況でした。株価は低迷し、配当利回りだけが虚しく高くなっていく日々。周りが爆発的な利益を出している中で、自分だけが時代遅れの投資をしているような、強い孤独感と焦燥感に駆られました。
「自分もグロース株に乗り換えるべきか……」
何度もそう悩みました。証券会社のアプリを開き、持っている高配当株をすべて売却して、話題のグロース株に資金を移そうと、購入ボタンに指をかけたことも一度や二度ではありません。
しかし、私は思いとどまりました。「自分がなぜ高配当株投資を始めたのか」「自分が取れるリスク許容度はどれくらいか」を改めて自問自答し、歯を食いしばって、見向きもされない高配当株をコツコツと買い増し続けたのです。
結局、最後に笑うのは「信じて継続した者」
その後、相場はどうなったでしょうか。
永遠に続くと思われたグロース株の熱狂は、金利の変動やマクロ経済の変化によって突如として終わりを告げました。高く評価されすぎていた株価は急落し、多くの投資家が大きな損失を抱えました。
一方で、見向きもされていなかった高配当株はどうなったか。業績の裏付けがあり、着実に利益を出している企業群は、相場の潮目が変わると同時に見直され、株価は堅調に推移し始めました。さらに、株価が低迷している時期にコツコツと買い増し続けたことで、私のポートフォリオの平均取得単価は下がり、結果として受け取る配当金は雪だるま式に増えていったのです。
その時、私は心の底から思いました。 「あの時、周りに流されず、自分を信じて高配当株に投資し続けて本当に良かった」と。
もしあの時、焦りに負けてグロース株に飛び乗っていたら、高値掴みをして大火傷を負っていたでしょう。そして、高配当株の恩恵も受けられず、投資の世界から退場していたかもしれません。
下落相場を乗り切るためのマインドセット
歴史は繰り返します。今の半導体株の熱狂と高配当株の苦境も、あの時の状況と驚くほど似ています。
確かに、今は半導体株が上昇し、私の投資先である商社や不動産株は下落しています。しかし、だからといって「高配当株はオワコンだ」と決めつけ、急いで乗り換えるのはあまりにも短絡的です。
私たちは、投資のプロではありません。次にどのセクターがくるのか、いつ相場が反転するのかを正確に予測することなど不可能です。だからこそ、自分が腹の底から納得した投資手法を、愚直にやり続けることに意義があるのだと思います。
調子が良くない時こそ、他人の青い芝生を覗き込むのをやめましょう。 株価が下落している今こそ、優良な高配当株を安く仕込める「バーゲンセール」だと捉えるのです。
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットも、「他人が貪欲になっているときは恐る恐る、他人が怖がっているときは貪欲に」という言葉を残しています。市場が特定のセクターに熱狂し、高配当株に見向きもしない今こそ、我々高配当投資家が静かに、着実に、コツコツと種を蒔く時期なのです。
おわりに:めげずに、コツコツと積み上げよう
うまくいかない時に、別の方法に逃げたくなるのは人間の本能です。 しかし、その本能に打ち勝ち、自分が信じた道を継続した者にだけ、後から結果がついてくる。これは投資でも、仕事でも、人生そのものでも同じ真理だと私は信じています。
今の苦しい下落相場を耐え抜き、コツコツと株数を積み上げていけば、数年後、あるいは数十年後に必ず「あの時、諦めずに投資を続けてよかった」と笑顔で振り返る日が来ます。
配当金という確実なキャッシュフローは、必ず私たちの人生を豊かにしてくれます。一時的な株価の変動に一喜一憂せず、企業の出す利益と配当に目を向けましょう。
めげずに、焦らずに、自分のペースでやっていくべきです。 私自身も、今日書いたこの言葉を自分に強く言い聞かせながら、明日からもまた、コツコツと高配当株を積み上げていきたいと思います。


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