伊藤忠商事【8001】の決算2025年3月期第2四半期(4-9月)が発表されましたので記事にします。
伊藤忠商事に投資をして現在400株のみ保有しています。
今回の決算は良いように発表されていましたが、僕には苦戦している感じに見えました。
短期的にはすこし不安要素が出つつありますが、長期的に見たときには問題はないと思います。
投資の金額が大幅に上がっているので、世界経済の景気後退時のマイナスの影響を受けなければよいですが、そこが少し心配しています。
アメリカの経済だけでなく、少しずつ世界経済の成長率が鈍化してきているかなと思います。
リスクが顕在化したときに、投資額が大きくなっているので、今後の業績にどう影響を与えるかは不透明です。
でも投資なくして成長なしというとおり、現状維持で今稼げているからと何もしなければ競争で負けてしまうと思います。
伊藤忠商事であれば将来的にも生き残っていく可能性が高いと判断して投資を行い、継続して保有し続けています。
伊藤忠商事【8001】2025年3月期第2四半期(4-9月)について簡単に解説していきます。
2025年3月期第2四半期(4-9月)-進捗率50%
(伊藤忠商事決算短信引用)
(伊藤忠商事決算説明資料引用)
売上収益は7兆2,913億円(対前年比7.6%増)、当社株主に帰属する当期利益は4,384億円(前年比6.2%増)となり増収増益となりました。
進捗率は50%ですのでまずまずです。
伊藤忠商事はいままで規律的に投資を行っていたのですが、何かリミッターが外れたかのようにどんどん投資を行っています。その投資が、今後伊藤忠商事の業績に良い影響が出てくると思います。
他の総合商社も投資は行ってはいますが、それ以上に目を引くのは伊藤忠商事の投資スタンスが強気な姿勢で投資を行っている点は中々興味深いと思います。
今回の決算では純利益から一過性損益を除いた基礎収益は3,960億円と前年比では125億円増加しています。今回も為替の影響で+190億円と伸びていたのでその点で、伸びているので為替が円高になっていくとなると少し、成長という点で少し成長率が鈍化してきているのかなと思います。
営業キャッシュフローは1-2Qで過去最高で5,786億円となっています。営業キャッシュフローが過去最高になったのは機械及び食料での堅調な営業取引収入があり、金属での持分法投資からの配当金の受取等のためです。
三菱商事が2025年3月期第2四半期(4-9月)の純利益が6,181億円と進捗率が61%とかなり好調で、三井物産の2025年3月期第2四半期(4-9月)の純利益が4,118億円と進捗率が46%、伊藤忠商事の2025年3月期第2四半期(4-9月)の純利益は4,384億円の50%進捗率でした。
三菱商事は大口の評価益や資産の入れ替えで進捗率が芳しい中でも伊藤忠商事が少しずつ利益を積み上げて、三井物産の純利益を抜いています。
僕が前から描いていたストーリーでは、今まで資源高や為替の影響もあって総合商社が好調だったが、資源高が落ち着いて、為替も円高に振れる中でも、伊藤忠商事が非資源の収益力を伸ばして、業績はそこまで落ちないで、むしろ着実に利益を伸ばして成長していて、総合商社の中で伊藤忠商事が今後も着実に成長していくであろうと考えられ株価も上昇していき、成長していく過程でさらに株主還元も行われていくと楽観的なストーリーを描いています。
セグメント別で利益を見ていくと、
金属セグメントは1,004億円(前年同期比22億円減-進捗率50%)です。
伊藤忠丸紅鉄鋼の北米事業が悪化したのと原料炭関連事業が操業不調などで減益となっています。
原料炭関連事業では豪州Fitzroy と米国NCRが不調なようです。
Fitzroyについては投資以降、順調に生産していたが、今年に入り操業が悪化しています。ただ、地質条件の悪い部分は今年中には抜け、次の鉱区になれば、従来通り順調な生産に戻ると見込んでいる。
NCR については、ボルチモア港での橋の崩落により2ヶ月半程出荷ができない状況です。
説明によれば生産の本格化までには時間がかかる状況です。ただ二つの案件は一過性の損失なので、今後回復していくようです。
自分でも調べたのですが、メリーランド州はボルチモア港での橋の修復を2028年度を見込んでいるので、3Q以降もあまり業績は芳しくないのかもしれません。
情報・金融セグメントに関しては、378億円(前年同期比0億円増-進捗率46%)です。
(伊藤忠テクノソリューションズ決算説明資料引用)
伊藤忠テクノソリューションズは上場廃止していますが、決算説明資料をみてみると、素晴らしい内容でした。
受注高、売上高、利益でとても成長しているのが資料からもわかります。
インターネット関連事業者向けの生成AI基盤の構築事業が好調なようです。
決算の中で質疑応答の中でも今後10%利益成長していく実現性に問われたときに、答えとしては情報金融の成長に期待があり、デジタルバリューチェーンの拡大による受注増加もあり、大きな増益を見込めるとのことです。
伊藤忠テクノソリューションズなどの情報通信事業は好調ですが、金融事業があまりよくないです。
オリエントコーポレーションは下方修正を行って株価が大幅に下落していた記憶があります。
今後も情報通信事業に関しては期待していけると思いましたが、オリエントコーポレーションの決算内容を見てみたときになかなか成長は厳しいなと感じられました。ただ、取込比率が16.5%とかなり低いので、他の金融事業を行っている会社を今後伸ばしていくと思います。
食料セグメントでは402億円(前年同期比11億円増-進捗率54%)です。
販売価格上昇や取引拡大、食糧関連取引での取扱数量の増加でしたが前期の反動で北米穀物関連事業はあまり芳しくありません。
以前まではDoleの事業が赤字が続いていましたがようやく黒字になりつつあります。ただそれでも、2Qまでで3億円と前年同期比で8億円も減益しています。手堅く稼いでいけるのかなと思いきや、意外と苦戦を強いられているなと思います。
以前の質疑応答の答えで食品事業は来期以降に好業績を維持ししつつも、期待度が高いと述べていましたが、蓋を開けると意外と苦戦しているなというのが印象でした。
日本アクセス等の国内の食品流通関連事業は、販売価格への転嫁、配送ルートの効率化で物流コストの削減等で来期以降も期待した成長ができます。日本アクセスが意外と成長しているなと思います。
2Qで136億円と前期で6億円増益となっています。
日本アクセスは伊藤忠商事のグループで相乗効果を生んでくれる事業なのかもしれません。
住生活セグメントに関して312億円(前年同期比28億円減-進捗率35%)と減益となっています。
主な減益要因としては、北米設備資材関連事業の採算悪化が要因です。
質疑応答の中で北米建材関連事業やパルプ関連等が苦戦しているが下期の展望がどうなるかの質問がありましたが、米国の住宅ローン金利の高止まりで、需要が減退して中古市場が停滞して販売に回っていないが、今後金利の利下げで、中古住宅の売買も増えていくと予想しているので需要も回復していくとありました。ただ、それでも3Q以降もあまり住生活セグメントに関してはあまり事業は芳しくないのではないかなと思います。
北米建材事業に関しては将来目標として500億円の収益を目指していて、フェンス事業に経営集中して取り組むために今後も投資を行ってくと説明資料にありました。
以前より住生活セグメントは苦戦しているイメージがあったのですが、資料によれば将来的に楽観的な感じでしたが、僕は悲観的に見てあまり今後も成長を大幅に伸ばしていくのは難しいかなと思っています。
機械セグメントに関して633億円(前年同期比27億円増-進捗率49%)です。
機械セグメントは北米では日立建機・東京センチュリーとファイナンス事業にも取組んでいて、リースやレンタル、メンテナンス等の需要増加で今後の収益貢献になっていくようです。
また投資において将来収益目標を300億円をめざして北米電力に力を入れています。2Q時点で北米関連事業で102億円の投資を行っています。再生エネルギー事業が今後も肝になっていき、開発、発電、運転・保守、エネルギーマネジメントなどの事業展開をしてより収益に貢献していくと予想されます。
(ファミリーマート決算説明資料引用)
第8カンパニーセグメントは542億円(前年同期比298億円増-進捗率83%)です。
進捗率は素晴らしい結果となっています。これには一過性の利益として中国事業再編によるものが大きいです。それでも客数と客単価が改善されただけでなく、広告事業の取引拡大がなされているので好調です。僕はあまりコンビニで物は買わないのですが、ファミリーマートがどう変化しているかをたまにいろいろな店舗に行ってみています。(少し変な行動ですが)
目を引くのはデジタルサイネージで情報が入ってくるので、広告としての効果が大きそうだなと思いました。あと気づいた点はドリンクが陳列している棚が以前まで電気をつけていたようでしたが、どの店舗でも電気をつけないで省電力にしているかのように見受けられました。電力費高騰の中で経費のコントロールの大切なので、伊藤忠商事のかけふを実践しているなと思います。
かけふは稼ぐ、削る、防ぐと伊藤忠商事が掲げる原則です。
第8カンパニーセグメントでは一過性の損益を除けばそこまで業績に伸びはありません。
第8カンパニーセグメントの立ち位置はファミリーマートに事業はコンビニエンスストア事業で他のセグメントの収益を全体的に上げることです。つまり
、第8カンパニーセグメントは他のセグメント同士をつないでいき相乗効果を狙っていくことが目的です。周辺ビジネスを行う事業会社も併せて判断していくべきと言及しています。
今期の決算の目標として8,800億円を掲げていますが、意外と厳しそうかなという印象でした。
伊藤忠商事に関しては将来的にも生き残っていく可能性がある会社として認識して長期投資先として良いなと思いますが、今の伊藤忠商事は規律的というよりは攻めて攻めてという印象があって少しリスクが高まってきた印象です。
今期の8,800億円は到達することは数値を上手くコントロールしておそらく達成すると思われます。
ただ、事業に関しては今は種まきを迅速に行っている感じがしてまだ芽が出ていないような感じがします。短期的には少し心配な点はありますが、長期的に見たときに伊藤忠商事であれば大丈夫だろうと思い保有し続けます。
今の株価はあともうちょっとで8,000円に達しますが、また株価が下がるようであれば投資を行ってきたいなと思います。
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