伊藤忠商事【8001】の決算2025年3月期第3四半期(4-12月)が発表されましたので記事にします。
伊藤忠商事に投資をして現在420株のみ保有しています。
決算発表を受けて株価も下落中で僕が投資をしている含み益の分もかなり減ってしまいました。
今年に入り追加で20株のみ投資をして早まったかなと思いましたが短期で儲けようという近視眼的に考えているわけではなく中長期的に配当金の増加と株価上昇さえすれば含み損になってもそこまで気にしません。
日本市場の難易度が上がっているので追加投資をするにも一気に100株単位で伊藤忠商事に投資をするのはできませんでした。時間の分散でコツコツ伊藤忠商事だけでなく良いと思う投資先には投資を行っていきます。
市場からは期待が高かったためか株価は下落しています。
伊藤忠商事の2025年3月期第3四半期(4-12月)の内容を見ていきます。
少しでも参考になれば幸いです。
2025年3月期第3四半期(4-12月)-進捗率77%

(伊藤忠商事決算短信引用)

(伊藤忠商事決算説明資料引用)
売上収益は11兆394億円(対前年比5.6%増)、当社株主に帰属する当期利益は6,764億円(前年比10.6%増)となり増収増益となりました。
通期の目標である8,800億円の当期利益はなんとかギリギリ達成はできそうですね。
資源分野は1,262億円と前年と比べても減益となっていますが、非資源の事業は4,685億円から5,587億円に伸ばしています。しかしやはり思うのが、確かに成長はみえますが、少し数値が上手く見えている感は少し否めないなと思います。
非資源事業で一過性損益(1~3Q)では繊維でデサントの子会社化の再評価益で+500億円の純利益、ファミリーマートの中国事業再編で+295億円です。事業は確かに投資をして伸びているのかもしれませんが、一過性損益があって今回の増益という結果とも言えます。また為替の影響も無視できません、
数値が上手く見えているというのはこのことについてです。
増収増益とは発表ではあるものの、内容をちゃんと見ないとその言葉が意味しているところは分かりません。ただ、短期的に悲観的に思えてしまう内容ですが、中長期的にみると今後の投資の効果が顕著に表れていくと思いますので問題はないと判断しています。
セグメント別で利益を見ていくと、
金属セグメントは1,331億円(前年同期比313億円減-進捗率67%)です。
鉄鉱石、石炭価格下落、伊藤忠丸紅鉄鋼の北米事業が悪化、原料炭関連事業が操業不調などで減益となっています。
原料炭関連事業では豪州Fitzroy と米国NCRが不調なようです。
Fitzroyについては投資以降、順調に生産していたが、今年に入り操業が悪化しています。ただ、地質条件の悪い部分は今年中には抜け、次の鉱区になれば、従来通り順調な生産に戻ると見込んでいると2Qではありましたが、3Qにおいても利益貢献にはまだ時間がかかるとあります。
NCR については、ボルチモア港での橋の崩落により2ヶ月半程出荷ができない状況です。
説明によれば生産の本格化までには時間がかかり10月に再開します。両社とも2026年以降に利益が貢献していくとのことですが、なかなか厳しい局面を金属セグメントの状態です。
さらに悪い条件がなければここから利益が削られていく感じではないようです。来期も金属セグメントン関しては厳しいようですが、その点を脱すれば利益が改善されていく事業です。

(伊藤忠テクノソリューションズ決算説明資料引用)
情報・金融セグメントに関しては、580億円(前年同期比38億円増-進捗率71%)です。情報セグメントにおいては伊藤忠テクノソリューションズが順調に成長していることもあり、携帯事業の減益のカバーがなされています。伊藤忠テクノソリューションズは売上と利益も伸びていて、インターネット関連事業の生成AIや通信事業者向けの通信設備システムの売上が伸びています。
気になったのが、持分法適用になっていたオリエントコーポレーションが持ち分法適用除外になっていることです。オリエントコーポレーションの事業は直近では芳しくありません。長期的に見て成長はできないと判断したためか株式売却で、持分法適用除外となっています。進捗率が70%台とそこまで良いとは言えないのは金融セグメントが意外と苦戦しているからかなと見えました。
資料によれば一過性損益も影響しているとありますが、金融セグメントがけっこう厳しいからかなと僕は考えています。
食料セグメントでは600億円(前年同期比50億円増-進捗率80%)です。
進捗率は確かに芳しいです。ただ意外だったのがDoleの事業がまた赤字になっている点です。
2Qにおいてようやく赤字から黒字になっていたので利益に繋がるかなと思いきやです。
日本アクセスの事業は、前年と比べても着実に利益に貢献しています。
伊藤忠食品は増収だけでなく、経費削減の効果もあり増益と3Qの決算短信に説明があります。
食料セグメントは来期はそこまで期待はできないような感じがします。
伊藤忠商事でさえ何とか食料セグメントで利益を出せているという状況ですので、他の食料事業を行っている企業はどうかと考えると、なかなか厳しいのかもしれませんね。
住生活セグメントに関して426億円(前年同期比95億円減-進捗率47%)と減益となっています。
主な減益要因としては、北米設備関連事業の採算悪化が要因です。
2Qの質疑応答の中で北米建材関連事業やパルプ関連等が苦戦しているが下期の展望がどうなるかの質問がありましたが、米国の住宅ローン金利の高止まりで、需要が減退して中古市場が停滞して販売に回っていないが、今後金利の利下げで、中古住宅の売買も増えていくと予想しているので需要も回復していくとありました。今回3Qでは利益が削られています。
北米建材事業に関しては将来目標として500億円の収益を目指していて、フェンス事業に経営集中して取り組むために今後も投資を行ってくと説明資料にありました。
前回同様住生活セグメントは苦戦しているイメージがあったのですが、資料によれば将来的に楽観的な感じでしたが、僕は悲観的に見てあまり今後も成長を大幅に伸ばしていくのは難しいかなと思っています。
大建工業の連結子会社と国内事業の採算改善とあるようですが、だとしても全体的に見るとあまり良い状況とまではいかないのかなと思います。
第8カンパニーセグメントは639億円(前年同期比272億円増-進捗率98%)です。
進捗率は素晴らしい結果となっていますが一過性の利益として中国事業再編によるものが大きいです。それでも客数と客単価が改善されただけでなく、広告事業の取引拡大がなされているので好調です。ただ来期は一過性損益の利益がはがれてどうなるかという所が焦点となります。
ファミリーマートの事業に関してはコンビニエンスストア事業で他のセグメントの収益を全体的に上げることです。つまり、第8カンパニーセグメントは他のセグメント同士をつないでいき相乗効果を狙っていくことが目的です。だからファミリーマートの事業がどうとかそういう感じで見て判断はしないほうが良いと思います。
ローソンでは業績が改善しているのを見ると、ファミリーマートももっと伸びしろがあると思います。
機械セグメントに関して1,038億円(前年同期比73億円増-進捗率80%)です。
機械セグメントは北米では日立建機・東京センチュリーとファイナンス事業にも取組んでいて、リースやレンタル、メンテナンス等の需要増加で今後の収益貢献になっていくようです。
東京センチュリーは決算資料をみるとロシア関連の時の悪い状況を脱してようやく利益も積み上げています。東京センチュリーは以前から投資をしたいなと思っていたので、急激に成長は難しいと思いますが着実に成長していく銘柄かなと思います。
今回気になった北米電力事業は前年と比べると猛暑で電力価格高騰の反動で持ち分法適用の利益が減益しています。
なぜ気になったのかというと伊藤忠商事の情報収集をしている時に、北米電力事業の説明を見たときにだから伊藤忠商事はここまで成長できたんだと確信できる情報に触れたからです。詳しくは以下の記事をご参照ください。
北米電力事業の事業の成長経緯や時代の流れとともに変化の対応などをみて、伊藤忠商事のセグメント全体でこういう素晴らしい従業員が素晴らしい仕事を日々行っていると思えば、今後も成長し続けるだけでなく、将来的にも生き残る可能性が高いと判断して今年に入り長期投資で投資を行いました。

今回の伊藤忠商事の決算をみて、株価が下落してきているのも納得です。
全体だけでなく、セグメントごとに深堀してみていくことも大事だと思いました。
情報ではたしかに増収増益とありましたが、これは増益といっていい内容かなと疑問も持ちました。
でも他の総合商社もそういう感じなんじゃないかと思います。丸紅は3か年計画で時価総額10兆円を目指すとニュースに触れましたが、いやー大丈夫かなと心配になりました。
そんなに投資をして急成長していくのはかなりリスクが高まるかなと思いました。
トランプ大統領になり関税とかで、アメリカ一人勝ちみたいになったとしても、世界全体で景気が後退したときに、アメリカにもいずれ影響を及ぼすと思います。
丸紅の急成長をしていく姿勢は大事だと思いますが、今はかなり不安定な状況下だと思いますので規律的に保守的に投資をして成長していかないとまた過去のように赤字の事業を抱える可能性が高まります。伊藤忠商事に関しては、過去の投資の失敗事例から得られた「投資の4 つの教訓」(以下の防止を徹底:①高値掴み、②取込利益狙い、③特定客先・パートナーへの依存・過信、④知見のない分野)の投資案件に投資をしています。伊藤忠商事が投資に積極的になっても、着実にコントロールできるのかなと思います。
今回の伊藤忠商事の決算はそこまで良い内容ではありませんでした。
積極的に投資を行って種蒔きを行って成長ができていく姿が将来的に垣間見えます。
他の総合商社とは違い異色だなと思います。逆張りの経営のような感じがします。
中長期的に成長していく可能性があるだけでなく、生き残る可能性が高いと判断して今後も継続して投資を行っていきます。
また今年に追加でNISAで投資を行います。
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