2025年3月期第通期決算が発表されましたので記事にします。
兼松は自分のポートフォリオの中でも気に入っている投資先です。
他の総合商社と比べて派手に株主還元とか、業績が向上している、ウォーレンバフェットが投資をしているというわけではないですが、それでも他の総合商社に引けを取らないと思うほど投資先として気に入っています。
兼松は伊藤忠商事同様に、非資源割合のポートフォリオで多く組まれている点や、最近株価が堅調なのは軍事・防衛関連の株というのもあるのかもしれません。兼松はポートフォリオの事業の中にそこまで比率は高くないですが軍事・防衛関連の事業がありますので、数少ない投資家が買いに行っているのかもしれません。
といっても、兼松に関してはそのような動機で投資しているわけではないので、これからも継続して投資をしつつ、保有もし続けます。
兼松【8020】2025年3月期第通期決算について見ていきます。
2025年通期決算全体について

(兼松決算短信引用)


(兼松決算説明資料引用)
2025年3月期通期決算の収益は1兆,509億円(前年同期比7%増)、営業利益は439億円(前年同期比▲4%増)、親会社の所有者に所属する四半期純利益275億円(前年同期比18%増)となりました。
過去最高益となっていて素晴らしいですね。自己資本比率も改善して2024年3月期22%→2025年3月期25.2%となっていて、財務も着実に良くなっています。気になったのが、前までは兼松の決算説明資料がそこまで内容は詳細に書かれていませんでしたが、今回の決算から資料がより追加されて今後の展望も書いていますのでより魅力度が上がりました。
今回の決算で懸念していた米国の関税に関しても、質疑応答の中で米国関税は限定的と述べているので投資先として一安心です。
兼松はやはり投資先として安定感があり素晴らしい投資先に投資できたなと思っています。
営業収益が伸びた要因は主に電子・デバイス事業、食料品事業、車両航空事業が大きく伸びています。
ICTソリューション事業の収益は995億円(前年同期比12%増)、親会社所有者帰属四半期利益は100億円(前年同期比7%増)です。力を入れている事業ですが、意外と思ったほど伸びていないですね。
ICTソリューション事業がセキュリティ関連、ネットワーク・ストレージ関連の案件で継続的な収益になるストック収益だからこそ、収益の伸びが著しいわけでもないということなのかもしれないです。
今回の資料から兼松エレクトロニクスの業績も掲載されていました。兼松エレクトロニクスの売上、受注も着実に伸ばしていて、流通業、サービス業、製造業を中心に伸ばしています。
ICTソリューション事業の投資として-サイバー攻撃の脅威拡大への対応、セキュリティ業界の連携強化、業界全体の成長と社会的価値の創出を行う日本サイバーセキュリティファンド(NCSF)を立ち上げています。日本初のセキュリティファンドですので、なかなかすごい事なんじゃないかと思っています。2025年度内に初投資を行うとあるので、投資を通して兼松だけでなく投資先にたいしてどのように付加価値がもたらされるのか興味深いです。
そしてさらに興味深いのが相乗効果という点です。
兼松は防衛関連事業も行っています。
今回の資料で防衛関連事業をITソリューション事業で、基地や施設のITインフラ、サイバーセキュリティ対策、監視・警戒システムなどを行うことでITソリューション事業の相乗効果が生まれています。
兼松エレクトロニクスの買収を行っているのも今までの相乗効果を生めていない部分を束ねることで、兼松の事業全体の価値が上がっているということなのですかね。兼松の社長の宮部さんはすごいですね。KDDI会長の高橋さんと同じ雰囲気がしますね。
電子・デバイス事業の収益は2,714億円(前年同期比15%増)、親会社所有者帰属四半期利益は70億円(前年同期比32%増)です。
前年に苦戦していたモバイル事業で先行していた費用が剥落しただけでなく、直営店舗の増加や販売台数の増加などが増収に貢献しています。モバイル事業の営業利益が104億円(前年度営業利益61億円)、純利益が70億円(前年度純利益43億円)ですので、前年度と比べるとかなり利益が良くなっています。Roicも20%越えていて、素晴らしい結果となっています。意外とモバイル事業は稼ぎ頭なのかもしれないですね。資料でもキャッシュカウ事業になっていると言及しています。
多分、僕の考えではここまで利益率が上がっていったのは、コロナの時に採算性が取れなくて、他の企業が撤退している中でも兼松のモバイル事業が残り続けたからこそ、取るパイが増えたと考えます。モバイル事業の法人向けにも行っているので、モバイル事業で日本で着実にM&Aなどで伸ばしていけばさらにキャッシュカウとして育っていくと思います。
ここまでの分析だけでも、兼松に今すぐにでも投資をしたい衝動に駆られる。

(兼松決算説明資料引用)
半導体部品・製造装置事業に関しては、半導体市況もそこまで芳しくなかったですが、M&Aの効果もあり増益となっています。
決算説明資料でも半導体関連事業の買収を着実に行っています。
半導体について僕は全くわからないので、半導体株には投資をしていませんが、兼松のように事業を分散して行っている企業に投資をして、半導体の成長をしていく恩恵を受けるというのも結構ありだと思います。
食糧事業の収益は3,575億円(対前年同期比5%増)、親会社所有者帰属四半期利益は31億円(前年同期比12%減)です。。畜産事業があまり事業の利益が逼迫しています。
統合報告書の説明資料の中で2027年の純利益350億円でオーガニック成長の中に海外食糧事業や畜産事業の成長も入っているので、今後の成長も期待ができると思います。
鉄鋼・素材・プラントの収益は1,984億円(対前年同期比△6%減)、親会社所有者帰属四半期利益は40億円(前年同期比21%増)です。
鉄鋼・素材・プラントはなかなか厳しいです。
前年では持ち分法の減損があって今期は、業績が上向いていくだろうと思いきや意外と苦戦しています。トランプさんが鉄に50%の関税をするとありましたので、なかなか厳しい予想が見込まれます。
車両・航空事業の収益は1,219億円(対前年同期比16%増)、親会社所有者帰属四半期利益は32億円(前年同期比8%増)です。航空機・防衛関連の取引が好調に推移し増益となっています。
最近株価が上昇してきているのは、日本の防衛費が上がっていくという見立てから、三菱重工なども上がっていて、兼松にもその資金が流入してきているんじゃないかと思います。

2026年3月期は収益が1兆1,000億円(前年同期比+491億円)、当期純利益300億円(前年同期比+25億円)、増配を10円増配の発表をして115円となりました。すばらしい!
中期経営計画によれば、2027年3月期には当期純利益350億円を目標としていますので、ここからさらに増配を期待できるんじゃないかなと思います。兼松に質疑応答のところに自社株買いではなく配当で還元していくとありましたので、当面は増配をしていくと思われます。
自分は兼松に投資を450株のみNISAで保有しています。
あまり銘柄に惚れ込むのはよくはないと思いますが、今すぐにでも追加で投資をしたいなと思ってしまっています。もし、ここから株価が下がったとして含み損を抱えても良いから投資をしたいと考えています。
今の段階で兼松の投資スタンスは売却をしない前提で投資をしています。
10年後も20年後も保有し続けられる銘柄だと考えれば、今の含み損より長期的に成長していき配当の増配と企業の価値の向上が将来的に良く見えます。
規律的で保守的な兼松は総合商社と比べると地味かもしれませんが、非資源の事業が100%で、国兄事業が中心で優等生で着実に良い業績を積み上げています。目先の損失は気にせずに、投資をしていこうと思っています。まず50株が中途半端になっているので追加で50株を投資できたらと思います。
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