投資を長く続けていると、日々さまざまなニュースが飛び込んできます。
スマートフォンの通知が鳴るたびに、「〇〇ショックの再来か」「歴史的な暴騰」といった刺激的な見出しが目に飛び込んでくる現代。そんな情報過多の時代において、投資家にとって重要で、かつ武器となるスキルは何でしょうか。
高度な財務分析のスキルでしょうか。それとも、チャートの細かい動きを読み解くテクニカル分析の技術でしょうか。
いいえ、違います。現代の投資において最も必要な能力、それは「鈍感力」です。
日々のニュースにいちいち反応しないこと。株価が大きく動いても感情を波立たせないこと。そして、最悪の暴落が起きても「まぁ何とかなるか」とどっしり構えていられること。今回は、なぜ投資において「鈍感力」がこれほどまでに重要なのか、その理由と圧倒的なメリットについて深掘りしていきます。
たしかに株式分析力があればもしかしたら良い投資先を探せて投資リターンが良くなるかもしれませんが、それでも高値掴みや運悪く株価が下落していく場面では分析力は薄れてしまいます。
コントロールできるところとコントロールできないところを自分で見つけていくことでよりリターンが改善されていくと思います。その時に思うのがこの鈍感力でコントロールできないことを意識的に考えないという大事さだと思いました。
少しでも参考になれば幸いです。
インパクト重視の数字に踊らされる現代の仕組み
メディアやSNSは、私たちの「注目」を集めることで利益を得る仕組みになっています。
そのため、発信される情報は必然的に、人々の目を引き、感情を揺さぶるような極端なものになりがちです。
例えば、最近のニュースではこのような見出しをよく目にしないでしょうか。
- 「原油価格が歴史的な高騰!インフレ再燃の危機」
- 「天然ガスの先物が70%も急上昇!冬のエネルギー危機到来か」
「70%上昇」といった非常にインパクトのある数値を見せられると、私たちの脳は無意識のうちに警戒警報を鳴らします。「大変だ、今すぐポートフォリオを見直さなければ」「エネルギー関連株を買わないと乗り遅れるかもしれない」と、焦りや不安、あるいは過度な期待といった感情が引き起こされます。
しかし、冷静になって考えてみてください。こういった「目を引く情報」に過剰に反応して何か行動を起こしたからといって、結果的に投資のパフォーマンスが良くなる傾向にあるでしょうか。
歴史が証明している通り、答えは「ノー」である可能性の方が圧倒的に高いのです。
ニュースになって大々的に報じられている時点で、その情報はすでに市場価格に織り込まれています。インパクトのある数字を見てから慌ててエネルギー銘柄の個別株に飛び乗っても、そこが「高値掴み」のピークであることは珍しくありません。
逆に、悲観的なニュースを見て慌てて優良な資産を売却してしまえば、その後の大きな反発(回復局面)を取り逃がすことになります。
現代のメディアや情報プラットフォームは、あなたに「反応させる」ための仕組み作りを極めています。
それに素直に反応してしまうことは、他人の手のひらの上で踊らされ、投資における大切な資金と心の平穏をすり減らす行為に他なりません。
情報に踊らされずにどうすればよいのか、僕なりにたどり着いた考えは鈍感力でした。
だからこそ「反応しない」。鈍感力という最強の盾
では、この巧妙な情報社会を投資家としてどう生き抜けばいいのでしょうか。その答えこそが、「反応しない」という選択、すなわち「鈍感力」を身につけることだと思います。
投資における鈍感力とは、決して「何も勉強しない」「無知でいる」ということではありません。自分が信じられる投資の基本方針(例えば、優良な高配当株に規律的に毎月投資していくこと、インデックス投資を長期的に積み立てることなど)をしっかりと固めた上で、「短期的なノイズ(雑音)を意図的に無視する能力」のことです。
原油が高騰しようが、天然ガスが70%上がろうが、「ふーん、そうなんだ」で済ませる。
一時的なニュースに対して、自分の投資行動を変えない。
この「反応しない」という姿勢を貫くことによって得られる最大のメリットは、感情がブレなくなることです。
投資において最も難しく、そして最も重要なのは「市場に居続けること(継続すること)」です。多くの人が投資で失敗するのは、選んだ銘柄が悪かったからではなく、途中で恐怖や欲望に負けて投資をやめてしまうからです。
鈍感力があれば、感情のアップダウンが極端に少なくなります。
「株価が上がって嬉しい」「下がって悲しい」という日々のジェットコースターから降りることで、投資をしていること自体を忘れるくらい自然に、息をするように継続することができるようになります。結果として、複利の力を最大限に享受し、長期的な資産形成を成功に導くことができるのです。
「まぁ何とかなるか」がもたらす余裕と投資の継続
そして、この鈍感力が真価を発揮するのは、平時ではなく「有事」のときです。すなわち、株式市場が大きく崩れる「暴落時」です。
数十年に一度と言われるような金融ショックや、世界的なパンデミックなど、市場全体がパニックに陥り、自分の資産が連日ものすごいスピードで目減りしていく時が、長く投資をしていれば必ず訪れます。資産評価額がマイナス30%、あるいは半分近くになるような局面です。
ここで敏感すぎる投資家は、毎日証券口座にログインしてはため息をつき、ニュースの悲観的な論調に心を折られ、恐怖のあまり「これ以上損をしたくない」と市場の底で資産を投げ売りしてしまいます。
しかし、鈍感力を持つ投資家は違います。
大幅な下落に直面しても、「まぁ、過去の歴史を見ても資本主義は成長し続けてきたし、何とかなるか」という、良い意味での楽観と余裕を持っています。この「まぁ何とかなるか」という気持ちがあるかないかで、暴落時の行動は天と地ほど変わります。
鈍感な人は、資産が減っていることを深く気に病みません。
そもそも日々の株価チェックを習慣にしていないため、世間が大騒ぎしている暴落にすら気づくのが遅れるかもしれません。
そして、「安く買えるバーゲンセールだな」とすら思いながら、淡々とそれまで通りのペースで投資を続けることができます。
暴落したとしても、そこでゲームオーバーになるわけではありません。
売らなければ損失は確定せず、ただそこに「評価損」という数字が表示されているだけです。鈍感力があれば、その数字の羅列に心臓を握りつぶされることなく、嵐が過ぎ去るのを余裕を持って待つことができます。
現代の投資家に求められる必須能力として
私たちは今、人類史上最も情報にアクセスしやすい時代を生きています。それは裏を返せば、人類史上最も「余計な情報によって投資判断を誤らせやすい時代」でもあります。
インフルエンサーの「今これを買え!」という煽りや、経済ニュースの「〇〇ショック警戒」という脅し。それらはすべて、自分の貴重な「鈍感力」を奪い、過敏に反応させるためのトラップです。
これからの時代、優れた投資家になるために必要なのは、より早く情報をキャッチする能力ではありません。「自分にとって不要な情報をいかに遮断し、鈍感でいられるか」という情報フィルターの能力です。
投資は、自分の人生を豊かにするための手段であって、目的ではありません。日々の値動きに一喜一憂し、ニュースの度にポートフォリオをいじり回して疲弊していては、本末転倒です。
- 経済ニュースの通知は厳選してオフにする。
- 「70%上昇!」などの極端な数字を見ても「そういうこともあるよね」と受け流す。
意図的に「鈍感」になる仕組みを作るべきだと思います。
「まぁ何とかなるか」。この言葉を口癖にできるほどの鈍感力を身につけたとき、あなたはすでに、大半の投資家が陥る罠から抜け出し、投資の成功への最も確実な道を歩み始めているはずです。反応しない強さこそが、自分の未来の資産を守り、大きく育ててくれるのです。


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