米10年債が5%目前に。安易に飛びついてはいけない。どうするべきか投資家として考えてみる。

保険株

米国の長期金利(10年国債利回り)が一時5%目前(4.97%台)まで跳ね上がり、20年債や30年債といった超長期債に至っては5.3%台に到達しました。

無リスクの米国債で年利5%超が確定するなら、今すぐ全力で買いではないか?と普通なら思うかもしれませんが自分なりに考えた結果アメリカの長期債には投資をするべきはないのではと思いました。証券会社のキャンペーンで何かお得なキャンペーンがあれば話はまた異なってきますが。

今回は足元で起きている歴史的な金利高騰の深層メカニズムを解き明かしたうえで、
今回のアメリカの国債の金利上昇をどう個人投資家として活かしていくべきかを考えてみました。

少しでも参考になれば幸いです。

1. なぜここまで金利が高騰しているのか?

今回の米金利急騰は、単なる景気過熱によるものではありません。インフレ圧力の長期化と、米国債という市場そのものの需給構造の歪みが重なった結果です。

① インフレ長期化

主因の一つは、資源価格の高止まりを背景とした期待インフレ率の再燃です。
FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を一段と引き上げるか想定以上に長期間にわたって高水準に据え置く見通しです。

インフレ懸念が高まると、投資家は債券を売り始めます。
なぜなら、債券が約束する将来の利息(クーポン)や満期返済金は額面金額で固定されているため、
インフレによって実質的な購買力が目減りしてしまうからです。
将来受け取る実質リターンが減ると判断された債券は叩き売られ、結果として利回りが跳ね上がります。

② 米財政赤字の拡大と国債の大増発

もう一つの強烈な要因が、米国債の「需給悪化」です。米国政府の財政赤字は膨張の一途をたどっており、その穴埋めとして国債が空前の規模で大増発されています。

市場に供給される債券の量が爆発的に増えている一方で、FRBは量的引き締め(QT)によって国債の保有残高を減らす側に回っており、かつての大口買い手だった海外中央銀行などの買い需要も鈍っています。「売り手が溢れ、買い手が不足する」需給の不均衡が、国債価格を下落(利回りを上昇)させています。

2. 個人が「米国債の生債券」を買う3つの致命的落とし穴

それでも、満期まで持ち切れば年5%超の利回りが確定するなら買う価値がある

そう考える個人投資家を待ち受けているのが、個人特有の3つの落とし穴です。

落とし穴①:強烈な「為替リスク」による利回りの蒸発

日本に住み、日本円で生活する投資家にとって最大の敵は為替です。日米金利差の拡大を背景に歴史的な円安水準にある局面で円をドルに両替して米国債を買った場合、将来の円高リスクを真正面から浴びることになります。

仮に年5%の利回りを手に入れても、満期時や途中売却時に米国の利下げや日銀の利上げによってドル円が15円〜20円ほど円高に振れれば、数年分の利息収入など一瞬で吹き飛び、円換算では元本割れに転落します。長期で保有にしても満期で持つ場合はインフレなどを加味するとなかなか厳しいのかなと思います。

落とし穴②:10年〜20年に及ぶ「資金拘束」と「機会損失」

満期保有を前提とするなら、10年債なら10年、20年債なら20年間、その資金を動かすことはできません。

もし途中で現金が必要になって中途売却しようとした場合、さらに金利が上がっていれば債券価格の下落による売却損を被ります。また、資産が完全にロックされている間に、株式市場で歴史的な大暴落が起きて絶好のバーゲンセールが訪れたとしても、機動的にキャッシュを投入することができません。

落とし穴③:税引き後の実質利回りの低下

米国債の利子には、日本国内で約20.315%の申告分離課税が課されます。
表面利回りが5%であっても、税引き後の手取りは約3.98%まで目減りします。
インフレが進む環境下で、為替リスクと長期の資金拘束を負ってまで取りに行くリターンとして、手取り4%弱が本当に見合うのかは冷静に吟味する必要があります。

4.自分が考えた投資先について

そこで浮上するのが、個人で米国債を直接保有する代わりに、「東京海上ホールディングス」の株式を通じて間接的に高金利の果実を享受するというアプローチです。

「金利が上がると債券価格が下落して保険会社も損をするのでは?」と疑問に思うかもしれません。しかし、同社の強固な財務体質とビジネス構造を紐解くと、この高金利環境が極めて巨大な追い風であることが分かります。

① ALM(資産負債総合管理)による「BSの守り」

東京海上は、国内事業だけでなく北米・欧州を中心とする海外保険事業(フィラデルフィア、デルファイ、HCCなど)においても、徹底したALMを実行しています。

保険会社は、将来の保険金支払いという「負債」を抱えています。
ALMとは、この負債の支払い時期や規模に合わせて、同期間の債券(資産)をマッチングさせて保有する運用管理手法です。

金利が急騰すると、保有している米国債などの時価は下落し、貸借対照表(BS)上で債券に含み損が出ます。
しかし同時に、裏側にある「将来支払うべき保険金の現在価値(負債)」も金利上昇によって大きく割り引かれて縮小します。資産の目減りと負債の減少が相殺されるため、実質的な経済価値ベースでの自己資本の毀損は構造的に防がれているのです。

② フロー(PL)への純増:高利回り再投資の複利効果

ALMが防いでいるのは「時価下落のダメージ」だけです。
一方で、「新しく手に入る利息収入の増加」は、相殺されることなくそのまま会社の利益(PL)として積み上がります。

東京海上の海外運用資産は約10兆円超に及び、その大半が高格付けの債券やキャッシュです。保険会社には、満期を迎えた債券の償還金や、毎期契約者から入ってくる新規保険料(年間数千億円〜1兆円規模のキャッシュ)が絶え間なく流入します。

これらを従来の1〜2%台ではなく、年5%近辺の米国10年債や5.3%超の20年債で再投資できるため、受取利息・配当金(インカムゲイン)は雪だるま式に増加します。
海外事業だけでも年間100億〜300億円規模の利息押し上げ効果が毎期累積していく計算になります。

さらに、国内でも長期金利や超長期金利が上昇傾向にあります。
国内生保や国内損保の運用資産(約20兆円規模)においても、金利上昇に伴う再投資利回りの改善が進行しており、日米双方の金利高がグループ全体の利息収入を押し上げています。

③ 政策保有株売却との強力なシナジー

同社は現在、コーポレートガバナンス改革の一環として、数兆円規模にのぼる政策保有株式(持ち合い株)のゼロ化を進めています。

かつては「株を売って得た現金をどう運用するか」が課題でしたが、日米で金利が復活した現在の環境であれば、株式を売却したキャッシュを利回り3〜5%台の安全な公社債へと振り向けることができます。
株式の配当利回り(2%前後)と同等以上のキャッシュフローを、ボラティリティの低い債券利息として恒久的に固定化できる絶好の事業環境が整っています。

5. 米国債の直接保有 vs 東京海上HD 比較まとめ

個人投資家が直面する選択肢を整理すると、以下の対比となります。

比較項目米国債(10年・20年生債券)東京海上ホールディングス(8766)
金利高の享受方法年5%超の固定利息を直接受取運用利回り改善が増配や自社株買いを通じて還元
為替リスクの所在個人が100%直接負担(円高で損失直撃)企業側が高度にヘッジ・分散管理(配当は日本円)
元本・価格変動リスク満期保有ならドル建て額面保証(中途売却は損)株式固有の価格変動あり(巨大自然災害、相場急落)
流動性(換金性)10〜20年の資金拘束(途中売却は不利)市場でいつでも売買・現金化が可能
インフレ耐性名目固定のためインフレで価値目減り保険料改定や事業成長によりインフレに追随可能

米国債の生債券を個人で直接買う場合、ドル転に伴う為替リスクを一身に背負い、長期にわたって現金を拘束される覚悟が必要です。

一方、東京海上HDを保有するアプローチであれば、投資家は日本円のまま投資を行い、為替や金利の複雑なリスクヘッジはプロである同社のALMに委ねることができます。そして個人は、日米の金利上昇の恩恵を「増配が続く配当金」と「自社株買いによる株価成長」という形で安全に収穫できます。

結び:金利の潮流を味方につける投資判断

米国10年債利回り5%目前、20年債利回り5.3%超という数字は、世界経済が長年続いた「超低金利・ゼロ金利のぬるま湯」から完全に脱却したことを告げる号砲です。

金利が高騰している局面では、多くの個人投資家が目先の表面利回りに飛びつきがちです。しかし、自分は、「その金利高によって構造的に利益が拡大し、リスク管理が徹底されており、得られた利益を株主へ確実に還元する仕組みを持った企業」に投資をすることのほうが良いと思いました。

良い話には裏があるとはありますが、何事もそうです。
今回のアメリカの国債の長期債を無リスクで高利回りのリターンが手に入るというのは安易に考えすぎるかなと思い情報収集して結果的には投資をすることを控えて今投資を継続している東京海上ホールディングスに投資をすることを行いました。中には他の金融株に投資をして恩恵を受けようとする人もいるかもしれませんが、自分は結果的に東京海上ホールディングスに投資になりました。

上手い話だからとすぐに飛びつかずに情報を精査しないといけないです。
配当利回りが良いからと飛びついたら含み損を抱えてしまい抜け出せないとか、連続増配だからとか、大手の電力会社だからとか色々と容易に投資をしてしまいたくなる気持ちもわかります。
1つの情報から自分だったらどうするかを常に考えていくと少しは世の中の仕組みや構造や資本主義で立ち回る方法もわかり始めるのかなと思います。

誰がカモかわからなければ、そのゲームでは自分がカモである。

                                ウォーレンバフェット

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