「株価が連日上がっていて、SNSを見てもみんなが利益報告で盛り上がっている」 「下落が何ヶ月も続いていて、自分のポートフォリオを見るのも嫌になる」
投資をやっていると、誰もがこの2つの場面に直面します。
そして、人間の愚かな、しかし愛すべき性質として、前者の「絶好調なとき」にこそお金を投じたく ceo なり、後者の「不調なとき」にはどうしても躊躇してしまうものです。
最近、一時期落ち込んでいた高配当株やバリュー株の株価が再び上昇に転じてきました。自分の資産評価額が増えていくのを見るのは確かに気分が良いものです。
しかし、一息ついて自分の過去の資産推移を振り返ったとき、強烈に再認識させられた事実があります。
それは、「今こうして上昇の恩恵を受けられているのは、あの“みんなが不安になり、自分自身も居心地の悪さを感じていた時期”に買い向かえたからだ」ということです。
今回は、人間の心理的バイアスと市場のサイクル、そして東京海上ホールディングスなどの具体例を交えながら、「地合いが悪いときにどう行動すべきか」について深く掘り下げていきたいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
1. なぜ人は「上がると買いたくなり、下がると買えなくなる」のか?
人間の行動パターンを観察していると、実に興味深いことに気づかされます。
投資に限らず、日常の「お金」の扱い方でもまったく同じ現象が起きているからです。
給与日直後の楽観と、ピンチのときの萎縮
例えば、給与が入った直後の口座残高が潤沢なときを思い出してみてください。 どこか気持ちが大きくなり、「少しくらい贅沢しても大丈夫だろう」「あれを買おうか」と楽観的な思考になりがちです。
一方で、何らかの支出が重なって口座残高がカツカツになっているとき、人は「お金を使おう」とは思いません。むしろ財布の紐をギリギリまで締め上げ、リスクを極限まで避けようとします。
この日常的な金銭感覚が、そのまま株式市場という巨大な心理戦の場にも持ち込まれてしまいます。
投資における「心地よさ」の罠
- 株価が上昇しているとき: 毎日口座の資産が増える。「もっと買えばもっと増えるのでは?」という楽観的な感情が支配し、自信満々で資金を投入できる。= 心理的に非常に「心地よい」状態
- 株価が下落しているとき: 買ったそばから含み損が増える。「本当にこの企業は大丈夫だろうか」「もっと下がるのではないか」という不安に苛まれる。= 心理的に非常に「居心地が悪い」状態
しかし、投資の成果(リターン)を決定づけるのは、「どれだけ安く買って、高く売るか(あるいは保有し続けるか)」という極めてシンプルな原則です。
つまり、私たちが「心地よい」と感じて買いボタンを押しているとき、市場の裏側ではリスクが高まり、価格は割高になっています。逆に、「居心地が悪い」と考えているときこそ、リスクは限定的になり、素晴らしいリターンを生み出す種が蒔かれているのです。
2. 東京海上HDと半導体株ブームの陰で起きていたこと
私自身の実体験を振り返ってみても、この原則の正しさを実感せざるを得ません。
少し前の株式市場を思い出してみてください。 市場の話題を独占していたのは、半導体関連株やキオクシアホールディングスをはじめとするハイテク・成長株セクターでした。連日のように大幅高が報じられ、SNSやニュースでは「半導体株を買っていなければ投資家にあらず」と言わんばかりの熱狂に包まれていた時期です。
その一方で、東京海上ホールディングスをはじめとする大手損保株や、伝統的な高配当・バリュー株はどうだったでしょうか。
数ヶ月間にわたり、パッとしない地合いが続き、だらだらと下落したり横ばいを続けたりしていました。
「本当にこれで合っているのだろうか?」という葛藤
当時、ポートフォリオの中で不調な高配当株を買い増していく作業は、決して快適なものではありませんでした。
世間が「半導体!AI!」と沸き立っている中で、地味に下落を続けるバリュー株に資金を入れる。「自分の投資手法は時代遅れなのではないか?」「素直に話題の銘柄に乗っかった方が効率が良いのではないか?」という疑問や居心地の悪さが、頭をよぎらなかったと言えば嘘になります。
しかし、そこで自分の投資の根幹にある信念——「企業の本質的価値に対して株価が不当に放置・売られているときにこそ買う」——を曲げずに、淡々と買い増しを続けました。
過去の「心地悪さ」が、現在の「果実」になる
そして現在。
一時の下落局面を脱し、東京海上ホールディングスなどの高配当株は再び力強い上昇を描いています。今、含み益という形で少しずつリターンをもたらしてくれているのは、紛れもなく「市場から注目されず、下落していて、居心地が悪かった時期に仕込んだ株たち」です。
もしあの時、感情に流されて「今調子が良いから」と半導体株の天井付近に飛びつき、居心地の悪い高配当株を手放していたらどうなっていたでしょうか。おそらく、高値掴みと安値売りのダブルパンチを食らっていたはずです。
もちろん株価が上昇している時にまた積極的に投資をしていこうと考えがちにもなります。
自分がまさにそうで、自分が投資をしたい高配当株の投資先の株価が上がってきていて自分も投資をしたいなと思い始めてもいます。ぐっとこらえて東京海上ホールディングスだけでも投資をできたことでよしとするか、それとも少額でもよいので投資をするのかは考えますが、大きく資金を投入は考えてはいないです。
3. 市場の「悲鳴」と「歓喜」をどう捉えるべきか?
市場参加者の心理状態を知る上で、非常に重要な格言があります。
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観とともに実り、幸福感の中で消えていく」 (ジョン・テンプルトン)
みんなが楽観的になり、「投資って簡単だ」「買えば上がる」と口々に言い始めたとき、それは安全な合図ではなく、むしろ最も警戒すべき危険な兆候です。全員がすでに株を買い終えている状態(=これ以上買ってくる新規資金が少ない状態)を意味するからです。
逆に、みんなが恐怖に怯え、「高配当株なんてダメだ」「今は株式投資から撤退すべきだ」と悲観的になっているとき、あるいは関心を失って他の派手な銘柄に流れているときこそ、最高の仕込み時となります。

人間性と市場の構造を理解する
私たちが直面している難しさは、「人間の本能」と「投資の成功原則」が真逆を向いていることにあります。
- 人間の本能: 群れと同じ行動をしたい。安心したい。今目立っているもの、調子が良いものを好きになる。
- 投資の原則: 他人と違う行動をする。恐怖に耐える。今目立っていないもの、割安に放置されているものを買う。
自分自身の「買いたい」「売りたい」という感情すらも、市場の環境によって歪められているという事実を、まずは深く理解しなければなりません。
人間の本能を理解するためにも心理学や小説などから心理状況の分析などを行ってくことが大事なんだと思います。
4. 感情に振り回されないための具体的な行動指針
では、私たちはこの「買いたくなる高値」「買えなくなる安値」のトラップを乗り越え、いかにして客観的な行動を起こせば良いのでしょうか。
私が実践し、改めて重要だと感じている3つの行動原則を提案します。
① 「居心地の悪さ」を買いのシグナルだと認識する
下落局面に直面したとき、「嫌だな」「不安だな」と感じたら、こう思考を切り替えます。 「今、自分自身がこの居心地の悪さを感じているということは、市場の多くの投資家も同じように恐怖を感じている証拠だ。つまり、ここは絶好の買い場になりつつある」と。
自分の感情を、市場の過熱度を測る温度計として逆手にとるのです。
自分は資産全体が大幅に減った際に、自分のストレス度から少しでも嫌だなと思えば減った分、または減った分をマイルドにするように投資を行っています。
自分の投資ルールを規律化できるように今考えています。
自分の投資ルールがうまく機能して、負けにくい投資になれるようになるとしたらそれはとても改善すべきことなのかなと思います。そのアイディアも共有できたらと思います。

② シナリオと指標(ファンダメンタルズ)に立ち返る
株価の下落が「企業の業績悪化や不祥事などの不可逆的な崩壊」によるものなのか、それとも「市場全体の地合いやセクターローテーション(資金の循環)による過剰反応」なのかを見極めます。
例えば、東京海上ホールディングスのような世界的にも堅牢なビジネスモデルを持ち、株主還元姿勢が明確な企業が、単なる全体の地合いや市場の気まぐれで売られているのであれば、それは業績の悪化ではなく「売られすぎ(バーゲンセール)」です。
「株価」という心理的な数字を見るのをやめ、「企業の稼ぐ力」と「配当利回り」という客観的な数字に焦点を合わせることが、恐怖を和らげる一番の薬になります。
③ 「ルールによる機械的な買付」を取り入れる
どうしても感情が邪魔をして買いボタンが押せない場合は、ルール化が効果的です。
- 特定銘柄の配当利回りが〇%を超えたら、株価に関わらず〇万円購入する
- 月に1回、市場がどれだけ荒れていても定額を積み立てる
このように、意思決定から感情を排除する仕組みを作っておくことで、「地合いが悪いから躊躇する」という過ちを防ぐことができます。
まとめ:自分の性質を理解し、市場のうねりを味方につける
株式投資の世界で勝ち続けるために必要なのは、優れた分析力や最新のニュースを追う速さだけではありません。
それ以上に重要なのは、「自分自身という人間の愚かな性質(バイアス)を正しく理解し、コントロールすること」です。
- みんなが楽観的で、自分も心地よく投資したくなるとき ➔ 一歩引いて警戒し、キャッシュポジションを高めたり、買いの手を緩めたりする。
- みんなが悲観的で、自分も居心地の悪さを感じて投資を躊躇するとき ➔ 自分の信念(バリュー・高配当株投資の軸)を試されていると捉え、果敢に、しかし虎視眈々と仕込んでいく。
今回の高配当株の株価回復とリターンの拡大は、過去の下落期に恐怖に負けず行動したことへの「市場からの報奨金」です。
次にまた、市場全体が暗雲に包まれ、高配当株の下落が何ヶ月も続いて「本当にこれでいいのだろうか」と心が揺らぐ時期が必ずやってきます。
そのときこそ、今回の記憶を思い出してください。
「居心地の悪さの先にチャンスが生まれる」
この事実を胸に刻み、これからも市場の波に飲まれることなく、自分の軸を持って投資と向き合っていきましょう。


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