今回は、中古車オークションの絶対王者、ユー・エス・エス(4732)の2025年度第3四半期決算について解説します。
結論から申し上げますと、今回の決算も手堅く良い内容でした。
昨年あたりからてユー・エス・エス(4732)を投資先として気になっていました。
単に業績が良かっただけではありません。僕が今回最も注目したのは会社が新たに掲げた「ROE(自己資本利益率)20%以上」という目標設定です。
現在のユー・エス・エス(4732)の配当利回り約3%だけを見て「そこまで高配当ではないな」と思われるかもしれません。しかし、長期保有を前提に考えるとまた違った景色になってくると思います。
今回の記事では、最新の決算数値を紐解きながら、なぜUSSが長期で保有すればするほど利回りが育つ、負けにくい銘柄なのか、そのロジックを徹底的に解説していきます。
1. 決算ハイライト:盤石の「過去最高」更新
まずは、足元の業績を確認しておきましょう。2025年度第3四半期(4-12月)の実績は、文句のつけようがない素晴らしい内容でした。
①業績概要
- 売上高:829億円(前年同期比 +8.2%)
- 営業利益:438億円(前年同期比 +10.2%)
- 四半期純利益:304億円(前年同期比 +10.2%)
売上高、各利益項目すべてにおいて過去最高を記録しています。インフレやコスト増が叫ばれる昨今において、営業利益率が52.9%という、相変わらずモンスター級の収益性を維持しています。
② 通期予想の上方修正
好調な進捗を受けて、通期の業績予想も上方修正されました。
- 売上高:1,118億円 → 1,119億円
- 営業利益:574億円 → 580億円
- 年間配当予想:51.4円 → 51.8円(前期比+8.4円)
これにより、USSは「26期連続増配」と増配を更新しております。
そこまで増配力で高くはないですが着実に増配していく姿勢は素晴らしいですね。
2. 「ROE 20%」という目標について
さて、ここからが本題です。今回の決算資料の中で、長期投資家として魅力が映ったのは中長期経営目標の変更です。
これまで「ROE 15%以上」としていた目標を、2025年度より「ROE 20%以上」へ大幅に引き上げました。
なぜ「ROE 20%」が凄いのか?
日本企業の平均ROEは8〜9%程度と言われています。「優良企業」の目安とされる伊藤レポートの基準ですら8%です。20%という数字は、設備投資が必要な産業においては、通常では到達不可能な領域です。
これを達成するためには、「本業で圧倒的に稼ぐ」か、「自己資本(分母)を減らす」かのどちらか、あるいは両方が必要です。USSはその両方を完璧に実行しようとしています。
- 圧倒的な利益率:営業利益率50%超えの本業で、利益(分子)を積み上げる。
- 徹底的な株主還元:稼いだ現金を内部留保せず、配当と自社株買いで株主に還元し、自己資本(分母)を圧縮する。
会社側は、このROE 20%達成のために「総還元性向 100%以上(2027年度まで)」という強烈なコミットメントを掲げています。
これはつまり、「稼いだ利益は1円も会社に残さず、すべて株主に返す」という宣言です。この方針こそが、USSが長期保有投資として魅力的に映る要因になりました。
ROE20%の高さが長期保有でどう効果的なのかを見ていきます。
3. 「配当+自社株買い」が生む複利の魔法
「現在の配当利回りが3%程度なら、もっと利回りの高い株を買ったほうがいいのでは?」
そう考える方もいるかもしれません。しかし、USSの真価は「自社株買い」による株主価値の向上にあります。
総還元性向100%の内訳
USSの方針は以下の通りです。
- 配当性向:60%以上
- 総還元性向:100%以上
つまり、利益の約60%を配当として支払い、残りの約40%を「自社株買い」に充てる計算になります。
自社株買いがもたらす「永久増配機関」
毎年、利益の4割もの巨額資金を使って自社株買いを行い、それを消却(株式数を減らす)するとどうなるでしょうか?
- 発行済株式数が減る:市場に出回る株の枚数が毎年数%ずつ減っていきます。
- 1株あたり利益(EPS)が増える:会社全体の利益が横ばいでも、株数が減るため、1株あたりの取り分は増えます。
- 自動的に増配される:USSは「配当性向」を基準にしているため、EPSが増えれば、自動的に配当金も増えます。
これが、USSを長期保有する最大のメリットです。
たとえ業績が爆発的に伸びなくても、自社株買いというエンジンによって、EPSと配当金が半自動的に成長し続けるのです。
ですのでUSSの配当利回りは3%台と高配当投資家からするとそこまで魅力は乏しいかもしれませんが、長期保有前提で投資をすると着実に増配してく可能性が高まっていきます。
4. 株主優待
今回の変更で忘れてはならないのが、2025年度から株主優待制度が拡充され、長期保有優遇制度が新設された点です。これも長期投資家には強烈な追い風です。
100株保有ならQUOカード
まず基本の優待ですが、100株保有の場合は年間1,000円分(500円×年2回)のオリジナルQUOカードがもらえます。
「カタログギフト」がもらえるのは1,000株(約170万円相当)以上保有の場合ですので、少額投資の場合はQUOカードがメインになります。
300株以上で「長期優遇」の恩恵あり
今回新設された制度により、300株以上保有すると「三井住友VJAギフトカード」がもらえるようになり、さらに3年以上継続保有することで金額がランクアップします。
- 300株保有の場合:年間4,000円相当(年2回合計金額) → 3年以上で 年間6,000円相当(年2回合計金額) にアップ
- 500株保有の場合:年間6,000円相当(年2回合計金額) → 3年以上で 年間10,000円相当(年2回合計金額) にアップ
配当金だけでなく、優待面でも「長く持てば持つほどお得になる」仕組みが強化されました。
もし資金に余裕があれば、300株(約50万円)を目指して買い増ししていくのも、長期戦略として非常に有効です。
株主優待はあくまでおまけだと思いますので、廃止される可能性もあるので株主優待を当てにしすぎないようにしないといけないです。
5. 盤石のビジネスモデル
長期投資において最も恐れるべきは「減配」や「株価の暴落」ですが、USSのビジネスモデルはそのリスクを極限まで低く抑えています。
① 圧倒的な市場シェア
USSのオートオークション市場シェアは43.2%で業界断トツのトップです。さらに、中長期的にはシェア50%を目指して、東京会場やHAA神戸会場の増強に500億円規模の投資を行う計画です。
2位以下を大きく引き離す「規模の経済」が働いており、他社が今からこの牙城を崩すのはほぼ不可能です。
② 利益率50%超えの「集金システム」
オークション会場は、一度建設してしまえば追加のコストがあまりかかりません。出品料、成約料、落札料という手数料ビジネスであり、在庫リスクも持ちません。
この「営業利益率50%超」という驚異的な収益体質がある限り、多少の不況が来ても赤字に転落することは考えにくく、配当原資が枯渇する心配も少ないと言えます。
まとめ:長期投資家のための「王道」銘柄
今回の決算と「ROE 20%」目標を見て、改めて確信しました。
USSは、今の利回りだけで判断してはいけない銘柄です。
- 26期連続増配の実績
- 総還元性向100%による強力な株価下支えとEPS成長
- 長期保有優遇制度(300株以上)
- 営業利益率50%超の圧倒的なビジネスモデル
これらが揃っている以上、長期で持てば持つほど、取得単価に対する利回り(YOC)は上昇していくでしょう。
自社株買いによって、保有している1株の価値(シェア)は、寝ている間にも勝手に高まっていきます。
派手な急騰は期待できないかもしれませんが、5年後、10年後に振り返ったとき、「あの時USSを買って、ずっと握っていて本当に良かった」と思える。そんな資産形成のコアになり得る銘柄だと考えます。
もちろん投資に絶対はありませんが、長期保有前提であれば、これほど安心感のあるパートナーはそう多くありません。NISAの成長投資枠でじっくり育てる候補として投資を検討しています。


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