キヤノン【7751】2022年第3四半期の決算が発表されましたので記事にします。
キヤノンは円安による恩恵で業績が上昇するのではないかという思惑から配当を減配している時から
株価が大幅に上昇しています。直近の決算から投資先として投資冥利があるか検証していきます。
2022年第3四半期決算
2022年第3四半期の売上高は2兆8,742億円と前年比で12.4%上昇しました。製品価格改定や円安の影響と事業の好調さから業績を伸ばしました。
営業利益に関しては2,560億円(対前年比24%増)、当社株主に帰属する四半期純利益1,591億円(対前年比2.7%増)となりました。事業は好調で売上が大幅に伸びたものの、純利益があまり伸びなかった理由は有価証券評価損益の悪化や円安進行によるグループファイナンスの外貨建て債務から生じた為替差損などにより、229 億円悪化し、23億円の損失となりました。
また2022年第3四半期決算と同時に最終利益予想は2620億円から2500億円(前期比16.4%増)に下方修正しました。売上、営業利益は大幅に改善したものの純利益は厳しい様相を呈しています。対通期で進捗率は63.2%となっています。12月決算なので残り3か月で40%近く行けるのか?と考えると厳しそうですね。
事業別
プリンティング事業
プリンター事業の2022年3Q売上高は5,515億円(対前年比20%増)、営業利益は406億円(対前年比32.7%減)となりました。売上高は大幅に前年比で上昇しましたが利益面ではなかなか厳しいようです。
プリンター事業はやはり需要が減りつつあり、キヤノンも認識しつつあると思います。
プリンティング事業を今後どのようにしていくかがポイントとなります。
営業利益率は10%で平均より高いのと、売上も規模が大きいので稼いだお金をメディカル事業など先を見据えた投資を行っていく必要があります。
イメージング事業
イメージング事業はカメラや業務向けカメラ、監視カメラなど多岐にわたって行っています。世界的なカメラメーカーとして知られるキヤノンは主力となるデジタル一眼レフカメラのシェアは世界トップクラスです。
イメージング事業の2022年3Q売上高は2,029億円(対前年比32%増)、営業利益は366億円(対前年比106.4%増)となりました
プリンティング事業とは違い、増収増益と好調なようです。営業利益率も18%とかなり高い水準です。キャッシュを稼ぐ金のなる木ですね。
メディカル
メディカル事業でキヤノンはITヘルスケアや体外診断の領域に注力しています。
例えば、X線CT装置やMRI装置、眼科機器などを行っています。
2016年には東芝メディカルシステムズ(TMSC)の株式を東芝から取得していて、TMSCは医療機器業界でコンピューター断層撮影装置システムで日本だけでなくグローバルにシェアを広げています。
メディカル事業の2022年3Q売上高は1,261億円(対前年比9%増)、営業利益は64億円(対前年比5.1%増)となりました。大型装置の受注で受注残が過去最高となっています。メディカル事業は少しずつ芽が出てきたのでしょうか?
インダストリアルその他(露光装置/産業機器)
インダストリアルその他事業の2022年3Q売上高は1545億円(対前年比18.5%増)、営業利益は160億円(対前年比986.6%増)となりました。
半導体向けはさらなる需要拡大に応えるため、新工場建設を決定しているようです。勢いを感じます!
説明によると半導体デバイスの製造で最重要な工程となるのが、原画となる回路パターンを転写するリソグラフィ工程。この工程の主要部分を占めるのが露光機だそうです。
需要があると決算の資料からも読み取れるので半導体の需要は今後もあるのでインダストリアル事業は今後も伸びていきそうです。
投資判断
前日の決算発表を受けてキヤノンの株価は3,136円(前日比6%弱下落)になりました。
決算の売上、営業利益はとても良い結果となりましたが、当期純利益の下方修正から悪くとらわれてしまっていたようです。
僕の感想としては、下方修正はしたものの内容は良かったと思います。
主力事業の業績が回復してきているだけでなく、メディカル事業とインダストリアル事業が少しずつ芽が開き始めたところが良かったです。
主力事業で稼いだ金のなる木から問題児にキャッシュを回して花形にしていくかがポイントとなります。
株価が下落したのは今までが上げすぎていたので下がって当然ですね。
むしろ円安効果だから業績は大幅に改善されるとの思惑から上がっていたのでしょう。
ただ、ちょっと意図的に株価を上げているところがあるなと感じました。
個人投資家が餌食になっていなければよいですが…。
現在の投資判断は前回同様購入の検討はしていないです。
キヤノンは高配当で配当利回りが3.83%と高いですが、配当性向が毎年高くまた減配になったときに下落幅のリスクがかなり高いです。売上も安定的で、キャッシュフローも安定的に推移していますが成長性が感じられていないです。
財務は自己資本比率が60%台と長期投資先として申し分ないですが、株価も今は上げすぎていて微妙ですね。
配当利回りが5%台で株価も1600円~2000円であればまた買いたいです。
まとめ
キヤノン【7751】2022年第3四半期の解説をしました。
今後メディカル事業やインダストリアル事業の業績がキヤノンの行く末を決めていきます。
メディカル事業やインダストリアル事業が芽から花を開いて、業績も落ち着いて株価も下がれば100株のみであれば投資を検討したいです。
今後もキヤノンの動向を見ていきます。
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