業績比較分析(武田薬品VSアステラス製薬)。個人投資家に人気な製薬会社の売上、当期純利益、株価等の比較推移を検証。

製薬株

「武田薬品かアステラス製薬へどちらに投資をしようか迷っている」
「武田薬品とアステラス製薬の株価、業績や株主還元など比較してどのように違うか知りたい」

今回は高配当株で人気な製薬株の比較分析を行いたいと思います。
売上や当期純利益など過去の業績からどのように企業が歩んできたのか。
1社だけの株式分析で投資判断だと、会社の良い所に極端に集中したり、悪いところを見落としている可能性もあります。


この記事をみて、投資をする際の判断にお役に立てれば幸いです。

2023年3月31日時価総額

武田薬品 時価総額6兆8,830億円
アステラス製薬 時価総額 3兆4,076億円

売上高の比較推移

売上高の比較をしてみますと、武田薬品は少しずつ右肩上がりで売上は上昇しています。買収などを通じて規模拡大をした結果順調に成長していますね!急激に売上が伸びた反動で財務も急激に悪化しています。
一方のアステラス製薬は売上の伸びは緩やかですが改善されてきています。武田薬品のように財務レバレッジを利かせて、売上を改善というよりも着実に地盤を固めて緩やかに上昇しています。
もう少し売上が伸びてくれたらなと思います。

当期純利益の比較推移

当期純利益の利益を比較をしてみると、面白いですね!
売上は大きく開きがありますが、2014年では当期純利益は両社近い数字になり、2016年頃からアステラス製薬のほうが当期純利益が高くなっています。武田薬品の純利益は安定感に欠けているものの、アステラス製薬の当期純利益は年を重ねるごとに安定感を増しているだけでなく、改善されています。アステラス製薬は直近の当期純利益はあまり結果が振るわず、一方で武田薬品は直近の当期純利益は大きく伸ばしてます。
ただ、武田薬品はまた当期純利益が下がってしまうのではないかと危惧しています。今まで売上拡大してきてようやく実が結びつつあるのかもしれません。ただ、僕としてはアステラス製薬のほうが利益の安定感から魅力的に見えます。アステラス製薬は良い年の重ね方をしているなと思います。

財務健全性の比較

武田薬品の自己資本比率は2013年頃は50%以上でしたが2015年以降少しずつ財務が悪化しつつあります。売上拡大にレバレッジを利かせていましたが、急激に悪化して2019年と2020年には35%付近まで自己資本比率は悪化しています。金利上昇で業績にどう影響を与えていくのかを投資をする場合は注視しないといけません。金利上昇が足かせとなり、重みで沈んでいく場合もあります。株価は最近は堅調ですが、減配懸念が高まり始めたら株価も下落する可能性が高いので要注意です。
一方のアステラス製薬は優等生ですね!素晴らしい財務健全性です。
2013年頃は70%台でしたが、少しずつ自己資本比率も下がり60%台まで来ています。しかし、そこまで問題視していないです。財務キャッシュフローを有価証券報告書で見ましたが、返済に充てていて、財務健全性を意識した経営を行っています。無理して、財務を悪化させずに緩やかに成長させている会社であると認識しています。

ROE,ROAの比較推移

ROEでは武田薬品が高いかなと思ったのですが、案外ROEが低いなという印象です。自己資本比率もアステラス製薬より低く財務レバレッジを利かせているからといってROEが高いわけではないようです。なので武田薬品自己資本を使って効率的に稼げているわけではないです。
一方のアステラス製薬は2011年から2014年はROEは10%以下の水準の時もありましたが、その期間を除きROEは安定的に10%以上と稼げています。素晴らしい!!アステラス製薬は武田薬品と比較して自社株買いも頻繁に行われているのでROE向上に一役買っています。
やはり安定的で優等生のようなアステラス製薬を保有するほうが僕の好みです。

またROAの総資産に対する利益の割合もアステラス製薬のほうが効率的に資産を使用して稼ぐことができています。武田薬品に対してどうしても、総合的に見たときにアステラス製薬のほうが魅力を感じてしまいます。

株主還元の比較

武田薬品の現在の配当利回りは4.14%、一株配当150円(2023年3月31日)、アステラス製薬の配当利回りは3.19%、一株配当50円(2023年3月31日)です。武田薬品は2013年からずっと同じ配当額で高配当です。一方でアステラス製薬は増配を行い続けていて、高配当の武田薬品と比較すると物足りないですが9期連続増配でプラス自社株買いも行っているので、株主還元としてはアステラス製薬のほうが魅力を感じます。武田薬品は配当性向が100%を超えている時もあるのでひやひやする場面がありますが、減配せずに死守している点は良い点であると思います。アステラス製薬も近年では配当性向が高まりつつあります。
しかし、アステラス製薬はDOE(株主資本配当率)という指標で配当を還元しています。

純資産配当率(DOE) = 配当性向×自己資本利益率(ROE)×100% = 年間配当総額/純資産×100

DOEは上場企業で平均が2.8%となっている中で、アステラス製薬は直近で6.5%と高い水準で還元しています。

DOEのメリットとしては株主資本に対して配当金額が決まります。その機の利益に左右されずに安定した配当還元が可能となります。株主資本が増加すると増配もする可能性も高まります。

武田薬品はDOEを採用しているとはないですが、配当性向ではなくDOEで判断したほうが良いのかもしれないです。武田薬品は今の配当額でもDOEが高めなので増配をするとなると厳しそうですね。

株価の比較

両社の株価の推移(10年間)を見ていきます。
武田薬品の株価はここ最近ようやく上がってきたなという印象です。それでも、株価は10年間で見るとまったく上がっていないです。レバレッジを利かせて売上を拡大させてきたものの、あまり株価は上昇していないです。ROE,ROAもそこまで高くなく、高配当ですが市場の評価としては、あまり良くないようです。

アステラス製薬は10年間で見ると業績の改善と共に株価も上昇して反映されています。
業績の改善に伴う増配や自社株買い、安定感のある成長さ、財務健全性、ROE,ROAの高さ、キャッシュフローがプラスで推移している、時代が変化しても取り残されず生き残るであろう会社で、長期的に見たとき長期投資先としては申し分ない会社です。直近の株価は軟調ですが、今後も業績拡大と共に増配や自社株買いなどでゆっくりとでありますが株価も上昇していくと考えています。
10年後も持ち続ければ配当利回りも4%を超えて、ポートフォリオの頼れる鉄壁の壁として一役を担ってくれると思います。だからこそ、今後僕はアステラス製薬に投資を続けます。

まとめ

製薬株の武田薬品とアステラス製薬の比較をしてみました。
最近はアステラス製薬の株価は軟調で武田薬品の株価は上がってきているので、武田薬品への投資先の魅力が少し感じられていました。しかし、比較分析してみてアステラス製薬の良さを再認識してよりアステラス製薬へ投資をするという決意に繋がりました。まだ500株のみですが、来年の新NISAの開始の時にさらに追加で投資を検討をしております。
高配当だけに釣られるのではなく、長期的に見て投資先に成長性や増配余力などを総合的に分析して、時間と労力をかけて事業の一部と認識して金のなる木としてゆっくりと育てていきたいです。


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