今回は投資をする上で役に立っている本をご紹介したいと思います。イアン・テイラー、マシュー・ヒルガー著の『賭けの考え方-勝ち組プレイヤーの思考習慣』です。ポーカーの本でタイトルからギャンブル的な要素だから関係ないと思うかもしれませんが、中身はとても実践的ですので投資に応用できる考え方が盛りだくさんです。内容としてはポーカーをする上でどのように勝つことができるかという思考法です。どのように人は負けるのか、短期(運)ではなく長期(技術)でポーカーをプレイすること、ポーカーをする上での心構え、手札の流れや負けの流れが続いたときの考え方(不調に落ち至ったときどう対処すべきか)、バンクロール管理(資金管理)の大切さなどが解説されています。
ちなみに僕はポーカーは全くわかりませんしやることもないと思いますが、この本は何度も読み直して頭に刷り込んで投資に活かせる価値があると思いますので今回ご紹介しました。
なぜこの本を買ったのかというと、ある映画の影響です。ダニエルクレイブ主演の007カジノロワイヤルがきっかけです。ダニエルクレイブ版の007が一番好きなのでDVDをもって何度も観ています。
カジノロワイヤルの映画の内容の中で、カジノでポーカーをする場面があります。ポーカーをしているボンドが敵に負けてしまい、感情をむき出しになっているシーンがありました。そのあとポーカーをプレイするも、あまり結果が出ないターンが続きました。負けを取り返そうと資金提供者にさらにお金を追加しろとも迫り自分を見失っていました。普段の冷静なボンドがさらに感情的になり暴走して、敵にお金を渡すぐらいならと敵をナイフで刺しに行こうとします。この時、いやいや早まるなよと(笑)思ったのですが、考え直して同じ場面だったら僕も自暴自棄になると思います。この時、ポーカーと株は似ているのかもしれないと直感的に考えました。
僕が株で負け続けて負けを取り返そうと、冷静さを失って感情的にお金を入れ続けて視野が狭くなり、結果的に負けてしまう。自暴自棄になり、さらに投資のやり方を変えたりして結局市場から退場してしまうということが想定できます。
株とポーカーは似ているなと考え見つけたのがこの本でした。ポーカーで勝っている人はどのようにして勝っているのか、考え方や鍛錬の仕方などが書いてありなかなか当たりの本でした。
長期的視野でプレイする
この本の第二章で取り扱われている内容の長期的視野でプレイするを読むだけでもこの本の読む価値はあったなと思いました。
よくある巷の投資本では長期投資は良い、複利の効果があるなど散見されます。確かに資産形成においては長期投資の良さや複利の効果などは考え方は重要です。しかし、資産運用となると長期投資のやり方や資産が上手く増えずに短期的に売買を繰り返してしまったりなど、長期投資とは思えない行動に移してしまう可能性があります。おそらく短期的に行動してしまうのはなぜ長期的に投資が良いのかという運用の仕方の面での考え方が不足しているのではないかと考察しました。
資産形成と資産運用の違いは資産形成が一から資産を形成していくという目的で資産運用は資産を増やしていく手段です。資産形成の時と資産運用の時に目的と手段があるので資産運用の手段に具体的な考え方と行動が必要になります。
この本では長期的視野でプレイするとはどのようすればよいのかを具体的に記載しています。そして具体的にプレイしてなぜ長期的視野でプレイするとメリットがあるのかを解説しています。
ポーカーを長期的視野でプレイすることの大きな利点は、唯一の重要な事-正しい決断を下すことに-集中できる点だ
p.31引用
投資をしていると大きく負ける場面があります。大きく負けたときに投資スタイルを変えてしまう恐れがあります。目先の利益に惑わされて違う投資家の収益を見て、マネたものの失敗する場面があります。
しかし、著者はお金を勝ち取るよりも正しい決断を下すことのほうが重要であると言います。優れたプレイヤーは長期の利益が出るが、正しい決断の結果として利益がでてくる。正しい決断で短期的に失敗して損失を出してしまうかもしれないが、長期的に収益を獲得する唯一の方法は継続的に正しい判断を下す事と言及しています。
短期的に投資初心者の人がたいして時間も労力も使っていないのに、大きな含み益をだしていて、自分より下手な投資家なのにとモヤモヤする感情があると思います。短期的には確かに上手く利益があがるかもしれないが、ただ継続するのは難しい。また失敗が重なり短期的に負けを取り返そうとする人に多いのも短期的に利益を上げている傾向にあります。また短期的な視野の投資は結果を重視するので、物事が上手く行かないときが来たときに、ティルトに陥りやすい。ティルトとはプレイヤーが合理的に判断できず感情に取られた行動をしてしまうというポーカーの用語です。
また著者はあらゆる感情を決断から排除すべきと言及しています。怒り、失望、惨めさ、恐怖、幸福感、道場、プライド、神経過敏を挙げています。
また著書の良い所は応用としてどのように解決できるかアドバイスがあり、実践しやすく自分のトレーニングには良いなと思いました。
例えば感情の場面では、ポーカーテーブルで良く起こる感情と何がその感情を引き起こすのかを書き出し、認識して原因を理解することですでに半分解決できたといっても良いとコメントがあります。
投資でも同じように考えることができます。自分が含み損を抱えた状態でや含み損を拡大させている状態で、何かプライベートで仕事でトラブルが起きたり、人間関係で嫌なことがあったときに自暴自棄に株を売却してしまったりして後から最悪の判断だったと気づくことがあると思います。僕も経験があります。仕事でストレスを抱えて逃げるように市場を見てあまり利益が乗っていないのに売却して、結果あまり好ましい成績ではなかったということがあります。今の僕のスタイルは基本売却という判断をしていません。売却という判断はとても難しく、玄人でも難しいです。僕のような凡人に取れるスタイルは売却に判断に時間と労力と心理的負担をかけるのではなく、投資をする前に時間と労力をかけて厳選して購入に重点を置いています。人は日々たくさんの選択肢から選択して判断しています。朝起きて何をやるか、ご飯何食べるか、何着ようかなど頭の中でたくさんの考えをしています。僕は売却するのがめちゃくちゃ下手だと自覚しているのでバイ&ホールドをスタイルとしています。僕の保有株でもNTTや伊藤忠商事は幾度か売却しようかと考えていた時期もありました。結果的に売却しないほうが株価の上昇の恩恵や増配などでよかったです。
売却したかった理由は、おそらく株価が上昇している場面でこの利益がなくなったときと考えているからだと思います。でも株価上昇するか下落するかなんて誰にも分りません。神様でもないので、結果はわかりません。目先の株価に惑わされるのではなく、会社の長期的に成長して生き残る可能性が
あるかを考えて投資をしたほうが良いなと思います。経済不安をあおるように銀行がつぶれたとかリーマンショックの再来か米大手の失業者がテック業界以外で波及している、chat gptで世界が変わるとかいろいろ情報が出てくると思いますが、未来の出来事を当てるのは難しいです。会社の業績ではなく、長期的に存続しうるだろう会社を分析して資金を投じるほうが未来を当てるよりは難しくはないと考えています。
まとめ
著書の2章のみ解説しましたが、3章の本能を乗り越えるや6章のティルトの乗り越え方など内容は豊富です。400ページほどありますが、内容は難しくなくポーカーを全くやっていなくても、そこのところは飛ばして読んでも問題はないです。改善策のアドバイスや章ごとのまとめとして重要なところも抜粋しているので読みやすいです。あまり投資家界隈でおすすめしている人は見たことはないですが、アマゾンのレビューで星がたくさんあるからと言って必ずしも良い内容でないと考えています。読んでみると案外良いという本に巡り合えると思います。だから僕は本屋に行って実際に読んでみて、判断しています。人のレビューからではなく、自分の考えを考えるほうが現代において必要な要素だと思います。
値段は1,980円程ですが、それ以上の価値はあると思います。一度だけでなく、何度も読みこんでいく本であると思います。良い本は何度も読み込むべきだと思っているので、すぐ目に見えるところに置いています。
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