GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の投資から学ぶ投資法

投資考察

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は投資をしている方なら聞いた方がいると思います。
GPIFは年金保険料から集めた公的年金積立金を信託銀行や投資顧問会社などの運用受託機関を通じて国内外の株や債券の運用を行い、年金給付の財源はその年の保険料収入と国庫負担で9割が賄われています。1割の原資はGPIFの収益から出されています。運用資産規模は2021年時点で約196兆円です。この資産額は世界の年金基金でも最大規模なので世界最大の機関投資家として知られています。資産規模からクジラと呼ばれています。
GPIFの記事を書いた経緯はニュースでよくGPIFが赤字になっている、運用がマイナスで年金受取額が減るなどと報道されたりしていて、本当か?という所から始まっています。
僕はニュースを情報源としていますが、100%信じていません。本当にそうなのか?と疑いながら見ている時のほうが多いです。
結論GPIFの運用成績はたしかに直近では、赤字ですが過去の長期の運用収益は大幅にプラスになっていました。なぜ運用収益がプラスなのか、個人投資家として生かせる点が多いのではないかと思い記事を書いています。

GPIFの運用成績

(GPIF2022年第3四半期運用状況資料)

GPIFの2022年の収益を見てみると確かに直近は収益に関してはマイナスになっています。利子と配当は2022年度第3四半期累計で3兆592億円となっています。資産が大きいととんでもない金額のお金を生み出します。運用資産額は2021年度から下がり続けてていますが、過去の業績はどうでしたでしょうか。

(GPIF2022年第3四半期運用状況資料)

2001年度から2022年度第3四半期の累計ですが、図から見てみると配当は累積で積みあがっています。累積の配当と利子の合計は46兆4,116億円です!!46兆ってなかなかすごすぎませんか。2001年度は5,378億円の配当と利子の合計でしたが5年後の2006年には1兆6,407億円と3倍ほど増えています。2021年には3兆1,983億円となっています。これが複利の力か!複利の大きさはすさまじいです。
キャピタルゲインの方は累計で98兆1,036億円となっています。キャピタルゲインもなかなかすごい。2001年~2012年のキャピタルゲインは安定感に欠けていましたが、2013年以降少しずつキャピタルゲインにも安定感が出てきて累積でとても好調な運用収益の結果になっています。

ニュースでは直近の赤字に焦点が当てられていて、それのみが事実だと誤認して年金がもらえなくなる、定年後の収入はないので終わりだなどと間違った方向に考えてしまう恐れがあります。
映画のケビンスペイシーが出演している『交渉人』のセリフの中に印象深いものがありました。
ケビンスペイシー演じる交渉人が交渉相手と話しているときにある映画の話になります。話をしていた時に映画の結論が違うと交渉相手は言いました。しかし、ケビンスペイシー演じる交渉人は言いました。みんなその映画の結論をよく間違えるんだ。映画の映像だけでなく、本も読んでいると。
交渉相手はその情報を信用しすぎではと言います。
それに対して交渉人は本は1冊だけ読んで判断していない。何冊もの本からすべての真実を集め自分で真実を判断する。
このセリフは深いなと思いました。ニュースはすべてが正しいとは限りません。誰かの視点が入り混じっています。世の中情報があふれている中で、情報収集をして責任を持って決断をするのは自分であると。情報に対して、ある一面だけを切り取ってみるのではなく、情報収集をして多面的に情報を見て分析して自分なりに判断することが大事であると考えさせられました。

GPIFの投資法

GPIFの投資手法は基本原則に忠実です。長期投資、分散投資を基本として投資運用を行っています。

GPIFのホームページにも長期運用の説明で、運用で得られる収益は短い期間ではプラスマイナスで揺れますが期間が長くなるほど年間の運用収益の振れ幅が小さくなるとありました。一時的な市場の変動にもとらわれず、安定的に収益を得ることが可能であると説明がありました。

またGPIFは分散投資を心掛けています。投資対象を一つの種類に絞っていないです。国内債券25%、国内株式25%、外国債券25%、外国株式25%と分散されています。卵を一つのカゴに盛るなという格言があります。一つのカゴにすべて入れると卵がすべて割れてしまう恐れがありますが、複数のカゴにたまごを入れるとリスクを軽減できるというものです。
また分散投資をするのは毎年リターンの大きい資産を当てるのは難しいとGPIFは考えています。大きな損失を避け安定的に収益を得るために分散投資に忠実です。

長期投資と分散投資はGPIFの投資原則にも明記されています。
GPIFは長期投資と分散投資を基本として投資を行っていますが、なんだか少し平凡で、面白みがないなと思う方のほうが多いと思います。
でもこの投資方法が一つの正解なんだと思います。GPIFの運用成績が結果として一つの正解であると証明しています。
個人投資家も最終的に行きつく先はGPIFのような投資法にたどり着くんじゃないかと思います。何かの本で読みましたが、優れた投資は本当に退屈な投資法であると読んだ記憶があります。
マーケットに愚弄されずに機械的に入金して投資を行っていく。インデックス投資のようですね。

僕も長期投資を原則としていますが、分散投資はできていないので反省すべき点です。ポートフォリオは日本株だけで、さらに特定の業種に集中して投資がされています。
負けない投資をすると考えるときにやはり投資の基本原則に忠実であるべきです。退屈ではあると思いますが、農耕民のように分散的に違う種類の種をまき畑を耕し配当金や株主優待という果実を楽しみ、たまに魚釣りに行って大物を釣りキャピタルゲインを得られて、安心して寝られて明日がまた来て勤勉に畑を耕すという株式投資が僕には合っているようですし、理想的な生活です。

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