今回は投資先である東ソーの魅力を深堀していきたいと思います。
先日東ソーに初めて投資を行って、失敗したかなと不安が残った投資でした。化学という文系である馴染みのない分野なので、ここまで割安で放置されているのには何か不安材料が大きくあるのではないかと思っていました。東ソーについて再度調べていくと、不安が自信に変わりつつありました。
追加で投資も検討していこうと決めました!
財務健全性について
(2022年東ソー統合報告書引用)
2022年度の統合報告書の内容からある事実がわかりました。東ソーは昔経営危機に陥っていたことがある事実です。投資をする前は自己資本比率が25%台あったのでそれを下回るとは思っていなかったです。しかし、過去の1991年度の数字をみて自己資本比率が15.1%とかなり財務が悪化していました。統合報告書によると1990年代初期に巨大な経営資源を投入して、失敗して業績が瞬く間に悪化して財務が悪化していたようです。自己資本比率がここまで悪化していたとは驚きました!
2013年に自己資本比率が25%で年を経るごとに自己資本比率が上昇していたのでなぜここまで財務健全性を意識した経営なのだろうかと疑問なく投資をしていました。やはりもっと過去の数字を見ていくべきなんだなと思えました。直近の業績が良い悪いとか、右肩上がりで成長中とかも大事ですが、過去の失敗の時にどう乗り越えたかが大事だと思います。乗り越えたときが会社の本質が問われ、どのように今の経営に繋がったのかが理解できれば、長期投資をする際にも信頼して投資ができます。
兼松の投資の時もそうでした。1990年代後半以降バブルの際に過剰な不動産投資でつまずいてしまい資金繰りが悪化してしまい、債務超過に陥り苦境に陥りました。過去の失敗から財務健全性の意識した堅実な事業を経営しています。兼松の自己資本比率は2012年度は10%以下でしたが、負債を削減していき2016年には大きく回復して2022年ごろには25%と財務を意識した経営を行っています。
過去に大きく失敗して、過去の教訓が会社を堅実に経営を行っていく土台だと僕は考えています。過去の教訓を語る従業員が今も働いていること、その教訓を東ソーで働いている従業員に思想が引き継がれて、未来にわたって存続できる会社だと確信しています。過去の教訓が規律的な事業を行う礎になります。
また、不測の事態に備えたキャッシュマネジメントという文言もありました。純資産も積みあがっていて、キャッシュリッチ過ぎると指摘があったようですが、キャッシュもある程度温存しているのは今後何が起きても対応できるようにしているとのことです。保守的で堅実な企業は素晴らしいです!長期保有として増々欲しくなりました。
統合報告書によれば、財務基盤の強化は完了していて、実質無借金になり今後は攻めの財務を意識した経営がとても楽しみです。増配や自社株買いにも積極的に行うだけでなく、成長投資やM&Aなども行われていくとなると投資先への魅力を感じてきます。
ハイブリット経営
東ソーは2004年からコモディティとスペシャリティの両軸であるハイブリット経営を行っています。ROEも高い水準を保っていて、資本効率的に稼ぐことができています。
ハイブリット経営は需要が堅調なコモディティで稼ぎ、稼いだキャッシュで成長性があり利益率が高いスペシャリティに投資をして成長してくことです。
コモディティとスペシャリティとは何なのかというと、コモディティは社会基盤となる商品で需要が堅調ですが、競合メーカーが多く差別化が難しいだけでなく市場に影響されやすく不況の時には利益率が下がってしまうようです。
スペシャリティは社会課題を解決するもので付加価値が高く市況に影響されにくい商品で競合メーカーと差別化ができ高い利益率がある特徴があります。研究開発の時間とキャッシュがかかるところが難点ではありますが、差別化をするには必要です。成長ドライバーとしてライフサイエンス分野では、分離精製材を挙げています。分離精製材とは???調べてみたらバイオ医薬品等の研究開発、製造に必要です。バイオ医薬品は抗体医薬品を中心に遺伝子治療薬等で需要があります。
成長ドライバーで他にはGaN(窒化ガリウム)ターゲット材があります。これもまったく馴染みがないです(笑)。
パワー半導体に使用される大口径シリコン基板の成膜として利用される可能性があるようです。パワー半導体は電圧、周波数を変えたり、直流を交流、交流を直流に変えるなどの用途があります。スマホや冷蔵庫、パソコンなど電源回路を持つすべての機械にあると説明があります。東ソーの商品はコスト低減効果がある付加価値を提供して存在感を出していきます。
2030年の計画でスペシャリティの商品の営業利益を1,000億円を目指すとあります。市況に影響されずに安定的に利益を大きく稼ぐことができるようになれば財務は健全なので、株主還元である増配や自社株買いもされて還元されていくでしょう。また成長にも投資をして売上、利益面で成長していけば株価も順調に上昇してくと予想します。今の株価が全く上がっていない点から、上昇する余地は十分にあります。株価を試算しても十分上がる余力はあります。なかなかの掘り出し物ですね。
追加投資の検討をしています
化学株全体的に言えますが全体的に割安で放置されています。
銀行株の企業も以前は割安で放置されていました。割安なので配当利回りが高い会社が多い印象でした。銀行株は市場からは斜陽産業や低金利の影響と認識されていて、株価も全体的に低迷していました。斜陽産業や低金利で稼げないという世間の常識がありました。僕は銀行株を全く持っていませんが、斜陽産業や低金利で稼げないという世間の常識に疑いを持っていました。低金利でも安定的に稼ぎ出せていて、株主還元も多くされています。そして株価も割安で放置されている状況は投資先として魅力がとても感じていました。
昔の考えをアップデートしていく必要があるという考え方は『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』から考え方を取り入れて投資に活かしています。
JTのような斜陽産業も以前は減配リスクが高く、あまり投資先として魅力がないと判断され右肩下がりで株価も下落傾向にありました。しかし、外部環境が悪い中でも稼ぎ出せるとても高い営業利益率、高配当株、キャッシュフローの流れもよく、財務健全性の高さもあり現在の株価は上昇してきてます。
東ソーの魅力を深堀するのに話が逸れてしまいましたが、何が言いたかったのかというと世間の常識を疑いの目で見て自分の考えを持つことが大事であることです。あと、昔の常識を今の常識に当てはめて判断するべきではないと考えるべきです。
化学株全般ですが、原材料高や物流高、燃料費高騰など外部の影響を大きく影響を受けていて利益も逼迫しています。化学株全般は外部環境の影響を受けやすいのも特徴です。
しかし、外部環境の影響を受けてはいますが、外部環境に影響を左右されないように事業も構築しつつある会社もあります。それが東ソーでした。今東ソーに対して投資をしていますが、追加の投資をしていく魅力があり、チャンスとして捉えています。
化学となると文系の僕には難しい分野です。僕だけでなく、他の人も苦手である人もいると思います。難しい分野だからこそ、事業を理解して投資をできる範囲を広げられるようにできることも大切だと思いました。そうすれば、掘り出し物が見つけられチャンスを見出す機会が増えていくかと考えています。今の株価であればコツコツと追加で投資を行っていく予定です。
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